地獄へ道づれ

クイーンの「地獄へ道づれ」について

「地獄へ道づれ」（Another One Bites the Dust）は、イギリスのロックバンド、クイーンの代表的な楽曲です。この曲は1980年にリリースされたアルバム『ザ・ゲーム』に収録され、その後シングルとしても発売されました。曲はリズミカルでキャッチーなメロディーで構成されており、発売後は瞬く間に人気を博しました。

シングルリリースからわずか数ヶ月で、特にアメリカのビルボード・チャートでは1位を獲得。この成功によってクイーンは広く認知される存在となり、曲の売り上げは200万枚を超えました。また、アメリカのブラックミュージックのチャートでも高評価を得ており、シングルとしてはグループにとって最大のヒット曲となりました。

制作の背景

この曲は、バンドのベーシストであるジョン・ディーコンが作曲しました。彼は自身の性格が謙虚であり、バンド内で最年少のメンバーだったため、他の3人の才能を常に尊敬していました。そのため、曲のアイデアが浮かんだ際、あまりにも自分の考えがバカらしいものに感じ、最初はメンバーにも伝えませんでした。

しかし、あるロサンゼルスのコンサートで、マイケル・ジャクソンがフレディ・マーキュリーにこの曲のシングル化を強く推すことで、レコーディングが実現しました。印象的なベースラインはシックの「グッド・タイムス」に影響を受けており、ギターやベースのプレイはシックのスタイルを思わせるものがありました。

また、ドラムを担当していたロジャー・テイラーは、曲のディスコ調が強すぎると懸念し、ループ手法を使ったドラムパートにはやや消極的だったとも言われています。

曲の構成

曲の前半部分は同じフレーズを二回繰り返し、Bメロへ入るという構成になっています。最初は落ち着いたトーンで歌われ、二回目ではエネルギッシュな表現に変化します。このようなダイナミックな変化が、リスナーに強い印象を与えます。

さらに、アメリカのパロディ歌手アル・ヤンコビックはこの曲のパロディとして「遅刻へ道づれ」（Another One Rides The Bus）を発表し、多くの人々に親しまれています。

プロモーションビデオ

「地獄へ道づれ」のプロモーションビデオは、ダニエラ・グリーンが監督を務めました。その内容はシンプルで、暗いスタジオでメンバーが演奏する様子が映し出されており、フレディ・マーキュリーはスタンドマイクを片手にパフォーマンスを行います。特に後半ではフレディが特徴的なキャップを被り、ノリノリでリズムを刻む姿も収められており、視覚的にも楽しませてくれるものとなっています。

このプロモーションビデオは、DVD『グレイテスト・ビデオ・ヒッツ1』などで見ることができます。

リミックス・バージョン

さらに、この曲は1998年の映画『スモール・ソルジャーズ』に合わせてプラーズ・マイケルとフリーによってリミックスされました。その後、2006年にもマイアミ・プロジェクトにより再びリミックスが行われています。リミックス版はアルバム『グレイテスト・ヒッツIII 〜フレディー・マーキュリーに捧ぐ〜』に収録されています。

シングル収録曲

このシングルには、イギリス盤で収録されている「ドラゴン・アタック」やアメリカ盤・日本盤に収録された「自殺志願」といった他の楽曲も含まれています。これらの楽曲もまた、クイーンの多様な音楽スタイルを示す良い例となっています。

「地獄へ道づれ」は、今なお多くの人々に愛される曲として、その存在感を放ち続けています。

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