地球はプレイン・ヨーグルト

『地球はプレイン・ヨーグルト』

概要

『地球はプレイン・ヨーグルト』は、梶尾真治による1978年に発表された短編SF小説です。この作品は『S-Fマガジン』に掲載され、その後短編集としても刊行されました。梶尾のデビュー作であり、1979年には星雲賞短編作品部門を受賞しました。物語では、味覚を通じて異星人とコミュニケーションを試みるという独自のアプローチが描かれています。そのタイトルは、宇宙人にとって地球を表す「味」がプレイン・ヨーグルトであったことに由来しています。

あらすじ

物語は、ある日UFOが地球に墜落し、その中から2匹のタコのような姿をした宇宙人が発見されるところから始まります。一方は生き残り、もう一方は死亡しているようです。生き残った宇宙人は、味覚を基にコミュニケーションをおこなう能力を持っています。彼らは特有の粘液を放出し、その質を変えて相手との意思疎通を図るのです。これを受けて、様々な料理人たちが召集され、宇宙人との対話を行うための料理が準備されることになりました。

特に、日本で名高い美食家である老人も呼ばれ、彼の豊富な味覚の経験を通じて宇宙人との言語の解析が進められていきます。老人は宇宙人が発する「味」を試し、その意味を分析し、料理人たちはそれに合った料理を提供します。地球側の究極の目的は、UFOのエネルギー源を究明することですが、会見が進むにつれ、実際の宇宙人は単なる旅行者であり、技術的な知識を持たないことが判明します。

宇宙人は、配偶者が宇宙にいることを気にかけつつ、地球を同じように愛している様子を見せます。彼は自分が死亡したとしても外傷がなければ復活すると主張しますが、その配偶者はすでに死亡したとされ、解剖されてしまったという衝撃の展開が待っていました。配偶者の死を告げた時、宇宙人は驚愕し、悲しみを味わいます。一方、解闘を行った役人は混乱し、宇宙人に対して無意味な暴力を振るうことになります。ラー油やタバスコが宇宙人に投げつけられた際、これらの味は彼にとって「性的な求愛」を意味することが判明します。

この出来事を受けて、宇宙人は人間の行動に対し怒りを示し、彼らを呪いの「言語（味）」で責めることに。この時、老人は彼の味覚の刺激に驚き、心酔することになります。物語は、宇宙人が老人に私物として引き取られ、地下のかくれんぼのような環境で孤立した生活を送ることに。料理人たちは再度呼ばれ、宇宙人との対話のための料理を製作しますが、その内容は宇宙人にとって卑猥さを含むものでした。宇宙人はこれに抵抗しながらも、その新しい体験に翻弄され続けるのです。

この作品は、単なる異星人との接触の物語を超えて、人種間の理解やコミュニケーションの在り方について問いかける深いテーマを含んでいます。味覚という新しい視点を用いたコミュニケーションの仕方は、読者に新たな思考のきっかけを提供しています。

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