地球樹の女神

地球樹の女神

『地球樹の女神』は、1988年から1992年にかけて発表された平井和正氏による長編SF小説です。作者自身の青春時代の思い出を投影した本作は、発表当初から様々な困難に見舞われながらも、多くの読者を魅了し続けています。

概要

本作の原型は、平井氏が中学2年生の時に書いた処女小説『消えたX』です。「ラスト・ハルマゲドン・ストーリー」と銘打ち、『野性時代』で連載が開始されましたが、出版社の改竄問題により中断を余儀なくされました。その後、『SFアドベンチャー』で続編が掲載され、無事完結。しかし、活字化の度にトラブルが発生し、入手困難な作品となっていました。

その後、電子書籍化を経て、2004年には完全版となる『地球樹の女神 -最終版-』がCD-ROMで発行されています。

あらすじ

IQ400を超える超天才少女・後藤由紀子は、観葉植物との交信を通じて様々な知識を得ていました。中学3年生の新学期、彼女は遅刻のために学校裏手の塀の上で、謎めいた少年・四騎忍と出会います。この出会いが、世界の終焉と再生への壮大な物語の幕開けとなるのです。

各巻タイトル

真昼の魔女
鷹は自由に
火の騎士
わが母の教えたまいし歌
聖母の宝石
亡き王女のためのパヴァーヌ
狼の足跡
影のない女
死と乙女
トワイライト・ゾーン
荒野の少年のバラード
イマジン
本に挟んだ古い手紙
別れの「ファンシー」

書誌情報

角川書店版（カドカワノベルズ）

「地球樹の女神 1 真昼の魔女」1988年6月 ISBN 4-04-781201-3
「地球樹の女神 2 鷹は自由に」1988年9月 ISBN 4-04-781202-1
「地球樹の女神 3 火の騎士」1988年11月 ISBN 4-04-781203-X
「地球樹の女神 4 わが母の教えたまいし歌」1989年4月 ISBN 4-04-781204-8
「地球樹の女神 5 聖母の宝石」1989年6月 ISBN 4-04-781205-6
「地球樹の女神 6 亡き王女のためのパヴァーヌ」1989年8月 ISBN 4-04-781206-4

徳間書店版

「地球樹の女神 part 1 真昼の魔女・鷹は自由に」1990年5月 ISBN 4-19-124194-X
「地球樹の女神 part 2 火の騎士」1990年5月 ISBN 4-19-124195-8
「地球樹の女神 part 3 わが母の教えたまいし歌」1990年6月 ISBN 4-19-124260-1
「地球樹の女神 part 4 聖母の宝石」1990年7月 ISBN 4-19-124286-5
「地球樹の女神 part 5 亡き王女のためのパヴァーヌ」1990年8月 ISBN 4-19-124315-2
「地球樹の女神 part 6 狼の足跡」1990年9月 ISBN 4-19-124348-9
「地球樹の女神 part 7 影のない女」1990年11月 ISBN 4-19-124389-6
「地球樹の女神 part 8 死と乙女」1991年2月 ISBN 4-19-124471-X
「地球樹の女神 part 9 トワイライト・ゾーン」1991年5月 ISBN 4-19-124549-X
「地球樹の女神 part 10 荒野の少年のバラード」1991年8月 ISBN 4-19-124627-5
「地球樹の女神 part 11 イマジン」1991年10月 ISBN 4-19-124670-4
「地球樹の女神 part 12 本に挟んだ古い手紙」1991年12月 ISBN 4-19-124730-1
「地球樹の女神 part 13 別れの「ファンシー」」1992年3月 ISBN 4-19-124825-1

徳間書店ハードカバー版は、紙媒体として唯一完全に出版されたもので、全13巻で構成されています。

アスキー版（Aspect novels）

「地球樹の女神 1 真昼の魔女」1997年5月 ISBN 4-89366-732-7
「地球樹の女神 2 鷹は自由に」1997年7月 ISBN 4-89366-758-0
「地球樹の女神 3 火の騎士」1997年9月 ISBN 4-89366-813-7
「地球樹の女神 4 わが母の教えたまいし歌」1997年11月 ISBN 4-89366-847-1
「地球樹の女神 5 聖母の宝石」1998年2月 ISBN 4-89366-966-4
「地球樹の女神 6 狼の足跡」1998年6月 ISBN 4-7572-0109-5

アスキー版は、著者自身が編集・再構成を手掛け、コミック『クリスタル・チャイルド』も並行して掲載されました。泉谷あゆみ氏による美しいイラストが人気を博しましたが、アスキーの経営悪化により6巻で中断となりました。

関連作品

コミック『クリスタル・チャイルド』：平井氏がコミック用に書き下ろしたオリジナル原作を泉谷あゆみ氏が作画。
クリスタル・チャイルド　“地球樹の女神”コア・ストーリー：平井和正公式サイトで連載されたデジタルノベル。
書きたくない小説のこと：徳間書店版『地球樹の女神 PART3』のあとがきから始まったサイドストーリー。
その日の午後、砲台山で：『幻魔大戦』と『ボヘミアンガラス・ストリート』の世界に干渉するストーリー。

表現の自由問題

改竄問題

カドカワノベルズ版において、著作者人格権を侵害する130箇所以上の改竄が発覚し、角川書店との関係が決裂しました。

言葉狩り問題

徳間書店からの再刊行準備中に、用語規制によるチェックを「言葉狩り」と批判し、徳間書店からの出版を拒否。「幻魔大戦シリーズ」「ウルフガイ・シリーズ」など多くの作品を出版してきた徳間書店との関係も決裂しました。

脚注

関連項目

鏡明：作中に鷹匠中学校生徒会長として登場。
横田順彌：作中に鷹匠中学校生徒会書記長として登場。
玉置山：執筆にあたり何度か訪れた山。

外部リンク

* 光と時のペイブメント - 連載開始時に「野性時代」に掲載されたインタビュー

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