坂上陽三

坂上陽三（さかがみ ようぞう）は、1967年生まれの日本のコンピュータゲームクリエイターであり、ゲームデザイナー、ディレクター、プロデューサーとして活躍しています。兵庫県西宮市出身で、特に「アイドルマスターシリーズ」の総合プロデューサーとして広く知られています。ファンからは「ガミP」という愛称で親しまれています。

映画業界からゲーム業界へ

大阪芸術大学の映像学科に在籍していた坂上は、当初映画業界での活動を志していました。自主映画を制作するなど映画監督を目指していましたが、当時の映像業界の縦割り構造や、カメラマンとしてのキャリア形成の厳しさに直面し、ハリウッド映画のような娯楽作品への憧れだけでは難しいと感じました。そんな折、世界的に注目を集めていたコンピュータゲームに可能性を見出し、「ゲームも映像業界の一種だ」という発想からゲーム業界への転身を決意しました。また、学生時代にはアーケードゲームが流行しており、寮で友人たちと「ファミスタシリーズ」を熱心にプレイした経験も、ゲーム業界への興味を深めるきっかけとなりました。

ナムコへの入社と初期のキャリア

ゲーム業界への転身にあたり、当初は実家から通勤可能なコナミ（現：コナミデジタルエンタテインメント）を志望していましたが、面接の申し込みの際にナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）に誤って電話をかけてしまいました。しかし、その際の担当者の対応が非常に好印象だったため、そのままナムコに応募し、1991年に入社しました。ナムコでは、最初に『エアーコンバット』の開発に携わり、その後、ビジュアルデザイナーやプロデューサーなど、様々な役割を経験しました。

アイドルマスターシリーズでの活躍

2005年、アーケード版「THE IDOLM@STER」のロケテストに参加し、2007年発売のXbox 360版『THE IDOLM@STER』から総合プロデューサーとしてシリーズに関わるようになりました。以降、モバイルゲーム、アニメ、楽曲、ライブイベントなど多角的な展開を推進し、「アイドルマスターシリーズ」を市場規模600億円に上る巨大コンテンツへと成長させる中心人物となりました。

退任と現在

2021年10月には、自身初の著書となる『主人公思考』を発売しました。2023年3月22日には、「アイドルマスターシリーズ」の総合プロデューサーを同年3月末で退任することを発表しました。当初は2020年にシリーズ15周年を節目として考えていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、計画の変更や遅延を余儀なくされ、状況が落ち着くのを待って退任を決断しました。総合プロデューサー退任前までバンダイナムコエンターテインメントに在籍していましたが、現在はバンダイナムコスタジオに所属しています。

人物像

「ガミP」という愛称は、「アイドルマスターシリーズ」のファンであるプロデューサー（ゲームのプレイヤー）から親しみを込めて呼ばれています。同シリーズでおすすめのアイドルには水瀬伊織を挙げています。
また、ライブイベントにも出演しており、その際には「ヘンタイ」「変態紳士」という愛称で呼ばれるのが恒例となっています。この愛称の由来は、ゲーム内のアイドル衣装として幼稚園児のコスチュームを提案した際に意図が誤解されたことがきっかけですが、自身に対して親しみを込めて呼んでもらっていると受け止めているようです。「ヘンタイ」コールに対しては、「訴えるぞ！」と笑顔で返すのがお決まりとなっています。イベント出演時には、765プロマークの入ったオレンジ色のポロシャツを着用しています。

書籍情報

* 坂上陽三（著者）『主人公思考』KADOKAWA、2021年10月28日発売、ISBN 978-4-04605-400-5

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