坂千秋

坂 千秋（さか ちあき）

坂千秋は、大正から昭和にかけて活躍した内務官僚、政治家です。1895年（明治28年）に生まれ、1959年（昭和34年）に63歳で亡くなりました。内務次官、官選県知事、北海道庁長官、貴族院勅選議員などを歴任し、地方行政に大きな足跡を残しました。

生い立ちと学歴

坂千秋は、1895年8月28日に山口県厚狭郡厚西村（現在の山陽小野田市）で、呉服商を営む坂家の次男として生まれました。幼少期から学業に励み、豊津中学校（現福岡県立育徳館中学校・高等学校）を経て、第一高等学校に進学。第一高等学校では、独法科で首席の成績を修めました。1919年（大正8年）7月には、東京帝国大学法学部法律学科（独法）を卒業しています。

内務官僚としてのキャリア

大学卒業と同時に、高等試験行政科試験に合格し、内務省に入省。内務属として地方局事務官室兼府県課に配属されました。その後、佐賀県視学官、石川県理事官などを経て、内務省地方局で地方債課長、財務課長、行政課長などの要職を歴任しました。地方行政に関する豊富な知識と経験を培い、内務官僚として着実にキャリアを重ねていきました。

1935年（昭和10年）には岐阜県知事に就任。その後、内務省地方局長を経て、1939年（昭和14年）には兵庫県知事に発令されました。1942年（昭和17年）には北海道庁長官に転じ、終戦直前の1945年（昭和20年）4月までその任を務めました。各地域での知事、長官としての実績は高く評価されています。

戦後の活動

終戦直後の1945年10月には内務次官に就任しましたが、1946年（昭和21年）1月に退官。同年12月には貴族院勅選議員に任じられましたが、わずか半年後の1946年5月には辞任しました。その後、公職追放となり、一時政界から身を引くこととなりました。追放解除後は、帝都高速度交通営団（現東京メトロ）の管理委員に就任し、首都圏の交通インフラ整備に貢献しました。

著書

坂千秋は、行政法に関する研究にも熱心に取り組み、数多くの著書を執筆しました。

『行政法総論』（1925年）
『選挙法の理論と運用』（1926年）
『行政法各論』（1927年）
『比選と婦選』（1928年）
『比例代表の概念とその技術』（1932年）
『地方行政 上』（1935年）
『普通選挙法要綱』（三宅正太郎との共著、1925年）

これらの著書は、当時の行政法研究に大きな影響を与えました。

栄典

1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

人物

坂千秋は、地方行政に情熱を注ぎ、その発展に大きく貢献した人物として知られています。また、行政法研究者としても、多くの業績を残しました。その功績は、今日の地方自治制度の発展にも繋がっています。

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
末弘錦江『防長人物百年史』山口県人会、1966年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『新編 日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。

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