厚狭

厚狭（あさ）

厚狭は、山口県西部の山陽小野田市に位置する地域名です。その範囲は、広義にはかつての厚狭郡一帯（現在の宇部市、山陽小野田市）、やや狭義には旧厚狭町、狭義には山陽小野田市の大字・町名「厚狭」を指します。

当記事では、大字厚狭、厚狭一丁目を含む旧厚狭町エリア（大字鴨庄、大字郡、大字山野井、大字山川、桜）を中心に、厚狭地域の歴史、地理、文化について詳細に解説します。

地理

厚狭地域は、旧山陽町の中心地であり、難読地名として知られています。中心集落は、山陽小野田市北部の厚狭盆地に位置し、厚狭川が美祢市から南へと流れています。西は埴生地域、南は高千帆地域、北は美祢市、東は宇部市（旧楠町）と隣接しています。北西部では下関市（吉田地区）とも隣接していますが、直接通行可能な道路はありません。

道路網は、南北に国道316号と県道小野田山陽線、東西に国道2号厚狭・埴生バイパスと県道船木津布田線（旧国道2号）が通っています。鉄道は、厚狭駅（山陽新幹線、山陽本線、美祢線）が厚狭地区の南西端に、湯ノ峠駅（美祢線）が北部に位置しています。

日常生活では、厚狭盆地一帯、つまり、大字厚狭、厚狭一丁目に加え、大字鴨庄、桜（旧山川の一部）、大字郡、大字山川の一部を「厚狭」と認識する傾向があります。2010年の水害時には、厚狭盆地全体が「厚狭地区」として報道されました。また、厚狭地区複合施設（山陽小野田市山陽総合事務所、厚狭図書館、厚狭公民館など）は大字鴨庄に、厚狭中学校は大字山川に所在します。

地域内の大字・町名

大字厚狭：厚狭地域の北東部に位置し、厚狭川の東側が中心。厚狭小学校があります。
厚狭一丁目：厚狭駅北東の旧国道2号沿いの地区。2008年に住居表示が実施されました。
大字鴨庄：厚狭地域の中央部、厚狭川の西側に位置します。山陽総合事務所（旧・山陽町役場）があります。
大字郡：厚狭地域の南部で、周防灘に面しています。厚陽小学校・中学校の学区です。
大字山川：大字鴨庄の西隣に位置し、厚狭中学校があります。
桜一丁目・桜二丁目：厚狭駅南西の土地区画整理事業地。2011年に住居表示が実施されました。
大字山野井：厚狭地域の西端に位置し、出合小学校があります。

歴史

古代から厚狭郷、中世には荘園「厚狭荘」としてその名が見られます。『続日本紀』には、768年に長門国厚狭郡が登場し、山陽道巡察使が養蚕を奨励したという記述があります。江戸時代には、山陽道が東西を通過しましたが、船木と吉田の宿場の中間に位置していたため、通過地点とみなされていました。

1889年の町村制施行時に、厚狭村、鴨庄村、郡村が合併して厚西村が成立しました。1891年には山陽本線が開通し、中心地は船木から移転しました。1918年に町制を施行し厚狭町となりました。1929年には出合村を編入し、山川と山野井の2大字が加わりました。1956年に埴生町と合併して山陽町となり、地方公共団体としての「厚狭」は消滅しました。

自治体としての沿革

1889年4月1日：厚狭郡厚西村が発足。
1918年10月1日：厚西村が町制施行し厚狭町に改称。
1929年4月1日：厚狭町が出合村を編入。
1956年9月30日：厚狭町が埴生町と合併し山陽町が発足。
2005年3月22日：山陽町が小野田市と合併し山陽小野田市が発足。

地名の由来

『和名類聚抄』には「あづさ」と呼ばれていたとあり、「あさ」となったのは中世以降です。「梓弓」との関連性が考えられています。

「厚狭」の名称が使用される事物

厚狭郡
厚狭駅
厚狭郵便局
山陽小野田警察署厚狭幹部交番（旧厚狭警察署）
山口県立厚狭高等学校
厚狭・埴生バイパス

脚注

総人口：15,618人（2005年10月1日現在）
総面積：65.29 km²

参考文献

『角川日本地名大辞典 35 山口県』角川書店、1988年
山陽小野田市建設部都市計画課『山陽小野田市都市計画マスタープラン』山陽小野田市、2009年
宇治谷孟『続日本紀 （中）』講談社〈講談社学術文庫〉、1995年

関連項目

厚狭毛利家
* 山口県の廃止市町村一覧

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