坂尾五郎治

坂尾五郎治

坂尾五郎治（さかお の ごろうじ）は、平安時代中期から末期にかけて活躍した武士です。平常長の家臣であり、現在の千葉市若葉区大宮町付近を開拓した人物として知られています。彼の生涯は、武士としての活躍だけでなく、地域開発や寺社の建立にも深く関わっていました。

生涯

五郎治の生没年は不明ですが、平常長の父である常将が討ち死にした際、まだ6歳であった常長を守るために、利根五郎、岩富九郎、船尾太郎、松丸七郎、本納三郎、内田則定らと共に戦いました。この戦いでは、船尾と松丸が敵に寝返ってしまいましたが、残りの人々はなんとか生き延びることができました。この出来事を、彼らは妙見尊の加護であると喜びました。

前九年の役においては、源頼義の旗下として、中村小太郎常方をはじめとする多くの武士たちと共に参戦しました。この中には、かつて共に戦った利根五郎、岩富九郎、船尾太郎、松丸七郎、本納三郎、内田五郎に加え、岩佐八郎、椎崎三郎、船橋弥太郎、城平太、深町七郎など、そして200人余りの雑兵も含まれていました。彼らは、この戦いで武士としての功績を上げました。

大治5年（1130年）には、千葉常重から現在の千葉市若葉区大宮町付近（当時の千葉荘池田郷）を与えられ、一族や郎党を率いてその地の開発に尽力しました。特に、現在の大宮町の西部をなす長峰地区は、五郎治の末裔である和恵と結婚した長峰田所三郎胤行が開拓したとされています。

また、同年には長峰村三角山に妙見社を建立し、その翌年には上坂尾に北斗山金剛授寺（後の栄福寺）を建立しました。この寺の境内にある枝垂れ桜は、五郎治の妻である高枝姫が病気平癒を妙見大菩薩に祈願し、その成就のお礼として植えられたと伝えられています。

坂尾五郎治の人物像

坂尾五郎治は、武士としての勇猛さだけでなく、地域開発や信仰にも篤い人物であったと考えられます。彼は、戦乱の世を生き抜きながらも、人々の生活基盤を整え、心の拠り所となる寺社を建立することで、地域社会の発展に大きく貢献しました。

参考文献

千葉実録

注釈
本文中の「長峰田所三郎胤行」の「胤」の字は、人名に用いられる文字のため、ここではそのまま使用しています。

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