坂折棚田

坂折棚田（さかおりたなだ）

岐阜県恵那市中野方町にある坂折棚田は、400年以上の歴史を持つ美しい棚田です。この棚田は、標高620.9メートルから446.0メートルの間に位置し、高低差は174.9メートルに及びます。468枚の水田が広がり、畦の石積みは高さが1メートルから3メートルほどあります。傾斜角度は1/3.8から1/7.5で、平均斜度は1/7です。この地域は灌漑用水が豊富であり、米と麦の二毛作が行われてきたことが伝えられています。

この棚田は、戦国時代の末期から江戸時代にかけて自然の石を積み上げる形で作られてきました。その周辺に位置する坂折集落の開発は、大坂冬の陣の後に、美濃国加茂郡潮見村から入植した山田惣左衛門の五男（忠左衛門）と六男（長左衛門）によって始まったとされています。

比較的小規模な棚田ながらも、坂折棚田は地域住民の生活だけでなく、訪れる人々にも多くの魅力を提供しています。特に、風景の美しさと水田の配置は、四季折々の表情を見せるため、観光地としても注目されています。

保存活動

坂折棚田では、NPO法人恵那市坂折棚田保存会が設立され、様々な活動が行われています。この団体は都市住民に農業体験を提供する「棚田オーナー制度」を導入し、小中学校の生徒や企業の社員による農業体験も実施しています。また、「石積み塾」を開催し、ボランティアによる作業も行われています。こうした活動により、地域の里山の保全に努めています。

さらに、ここで収穫された米は「坂折棚田米」として名付けられ、恵那市の複数の場所で販売されています。また、毎年5月30日には田の神様を祝う「田の神様灯祭り」が開催され、多くの人々が参加して地域の伝統を楽しんでいます。

アクセス

坂折棚田へのアクセスは比較的良好です。中央自動車道の恵那インターチェンジから岐阜県道68号線を通り、車で約25分の距離にあります。また、公共交通機関を利用する場合、JR中央本線の恵那駅から東濃鉄道バスの「中野方馬越」行きに乗車し、野瀬バス停で下車した後に徒歩約30分かかります。

坂折棚田は、歴史と自然が交差する場所であり、地域の尽力によりその魅力が守られています。訪れる人々にとって、心に残る体験を提供してくれることでしょう。

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