坂本町 (弘前市)

坂本町（さかもとちょう）

青森県弘前市の中心部にほど近い場所に位置する坂本町は、江戸時代からの歴史を有する町です。郵便番号は036-8016。2017年6月1日時点の統計では、人口56人、世帯数30世帯という比較的小規模な町となっています。

地理的特徴

坂本町の最も特異な点は、その地理的な形態にあります。この町は弘前市の市街地に複数の区域が分散して存在する「飛地」として成り立っています。具体的には、土手町に近いエリア、北瓦ケ町や中瓦ケ町に接するエリア、そして南横町や緑町の周辺にそれぞれ離れた区域が位置しています。

町の形成当初、坂本町は南側の土手町と南北を結ぶ一つの筋道として計画されました。しかし、その後の城下町の町割りの進展に伴い、北側は山下町、北瓦ケ町、南柳町によって、中心部は田代町によって、そして南端は南瓦ケ町によってそれぞれ分断されていきました。このような複雑な成立と変遷の経緯が、現在の飛び飛びになった町の姿を生んだと考えられています。

歴史と沿革

坂本町は、江戸時代に弘前城下の町の一つとしてその歴史をスタートさせました。具体的な成立時期は正徳年間（1711年〜1716年）頃とされています。

明治時代に入ると、地名の表記に変化が見られます。明治初年から明治22年（1889年）にかけては、「弘前」を冠称する形で呼ばれていました。そして1889年（明治22年）、市町村制の施行に伴い弘前市が誕生すると、坂本町はその一部として正式に弘前市に所属することとなります。

近現代の坂本町の歴史においては、教育機関の存在が特筆されます。1901年（明治34年）には、現在の弘前学院聖愛中学高等学校の前身にあたる私立弘前女学校が、元大工町からこの坂本町に移転してきました。さらに1950年（昭和25年）には、同じ敷地内に弘前学院短期大学が併設され、教育機関が集積するエリアとなります。

しかし、学校の発展とともに手狭になったため、弘前学院の施設は順次他の場所へ移転していきます。まず、1970年（昭和45年）に弘前学院短期大学が稔町へ移転。続いて1974年（昭和49年）には高等学校も原ケ平へ移転しました。高等学校の移転後の跡地は駐車場として利用されることになり、現在の坂本町5番地にあたる場所（中三一般有料駐車場の周辺と考えられています）にその姿を変えました。

交通

坂本町の周辺には、弘南バスの複数の停留所が利用可能です。町に比較的近い停留所としては、「中央通り二丁目」や「中土手町」があり、これらは土手町循環100円バスをはじめとする様々な路線が停車します。また、「南瓦ヶ町」停留所も利用できますが、こちらは「ためのぶ号 津軽藩ねぷた村経由 - りんご公園線」の停留所であり、例年4月から11月までの夏季期間のみの運行となっています。

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