坂東玉三郎 (5代目)

五代目 坂東玉三郎

五代目坂東玉三郎（ばんどう たまさぶろう）は、1950年に生まれた日本の歌舞伎役者であり、映画監督、演出家としても知られています。また、彼は重要無形文化財の保持者であり、「坂東玉三郎」という歌舞伎名跡の当代です。彼の屋号は大和屋で、定紋と替紋はそれぞれ花勝見と熨斗菱です。

彼の本名は守田伸一（もりた しんいち）で、十四代目守田勘弥の養子として歌舞伎界に入門しました。若い頃からその特異な才能を発揮し、特に女形として卓越した演技を見せています。公称174cmという長身は、女形としては珍しいものですが、彼はその身長を活かし多くの舞台で驚異的な存在感を発揮してきました。

芸術的なキャリア

坂東玉三郎は、時代物から新歌舞伎に至るあらゆるジャンルの女形の技術に精通しており、特に世話物や舞踊作品において高い評価を受けています。彼は若い頃、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招聘され、世界の名だたる芸術家たちと共同作業を行ってきました。それにより彼の名声は国際的に広まり、様々な舞台や映画における彼の映像美は、多くの観客に感動を与えています。

歌舞伎だけでなく、彼はバレエにも取り組み、プロのバレリーナたちと共に踊る能力を持っています。その技術は非常に高く評価されており、彼自身も一流のバレエダンサーとして認められています。近年では、歌舞伎の枠を超えた邦楽の演出も行い、ますます活動の幅を広げています。

私生活と影響

彼の人生には多くの苦難がありましたが、特に小児麻痺を克服した経験が彼の人生に大きな影響を与えています。このリハビリ過程で踊りの魅力に引かれ、舞台に立つことを決意したとも言われています。彼はこのような個人的な困難を乗り越え、今日の地位を築くまでに至りました。長年にわたり、六代目中村歌右衛門との間に確執があったこともあったが、その後和解を果たしました。

年齢や体力的理由から2019年に短期公演から引退し、若手歌舞伎役者への大役継承も進めていますが、一方で2020年にNHK大河ドラマ『麒麟がくる』に正親町天皇役で出演し、舞台の枠を越えた活躍も見せています。

主な受賞歴と影響力

受賞歴には、1970年の芸術選奨新人賞や、1985年の都民文化栄誉章、1991年のフランス芸術文化勲章シュヴァリエ章など、国内外での評価が数多くあります。さらに、2019年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞し、その功績が讃えられました。日本藝術院の会員でもあり、現代の歌舞伎界における重要な存在として位置付けられています。

まとめ

五代目坂東玉三郎は、卓越した技術と深い芸術性を持ち、多面性に富んだキャリアを築いてきた歌舞伎役者です。彼の存在は、伝統芸能の枠を超え、文化交流の架け橋としていくつもの舞台で花を咲かせてきました。これからの彼の活動にも大いに期待が寄せられています。

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