均時差

均時差（きんじさ）とは

均時差とは、天文学における概念で、天球上を一定の速度で移動すると仮定した「平均太陽」と、実際に観測される「視太陽（真太陽）」との間の位置のずれを指します。

概要

均時差は、視太陽と平均太陽の赤経の差として定義され、1年を周期として変化します。この差は最大でも17分程度に収まり、視太陽の赤経の増加率が一定ではないことを示します。この変動には、主に以下の二つの要因が関与しています。

1. 地球の公転軌道が楕円であること
地球は太陽の周りを楕円軌道で公転しているため、季節によって公転速度が変化します。近日点付近では速度が速く、遠日点付近では遅くなります。この速度変化が、視太陽の動きの変動を生じさせます。

2. 地軸の傾き
地球の赤道面は、公転面（黄道面）に対して約23.4度傾いています。この傾きにより、太陽が黄道上を等速で動いたとしても、赤経の増加率は季節によって変化します。つまり、太陽が天球上を移動する見かけの速度が変化します。

これらの要因が組み合わさることで、均時差が生じます。

均時差と観測

均時差は、太陽を観測する際に考慮すべき重要な要素です。

準天頂衛星
準天頂衛星が地球から見て8の字を描くように見えるのは、均時差と同じ現象が原因です。

六分儀
六分儀を使って太陽を観測する際、正確な時刻を把握するためには均時差を考慮する必要があります。航海年鑑には均時差のデータが記載されており、これを用いて観測値を補正します。

時計
近代以降、均時差を表示する時計が製作されるようになりました。特にマリンクロノメーター（航海用精密時計）には、均時差を示す針が搭載され、航海中の正確な時刻把握に役立ちました。現代においても、高級機械式時計の中には、付加価値として均時差を示す針が搭載されているものがあります。

関連事項

日時計
日時計は、太陽の位置によって時刻を示すため、均時差の影響を受けます。そのため、日時計が示す時刻は平均太陽時と異なる場合があります。

* アナレンマ
アナレンマは、1年を通して同じ時刻に撮影した太陽の位置を重ねた際に描かれる8の字型の曲線です。この形状は、均時差と太陽の高度変化によって生じます。

まとめ

均時差は、地球の軌道と地軸の傾きによって生じる太陽の見かけ上の動きのずれであり、天文学、航海術、時計製造など、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。この現象を理解することで、より正確な時間認識や天体観測が可能になります。

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