坪憲章

坪憲章：JRAを彩った名調教師の軌跡

坪憲章氏は、1951年兵庫県宝塚市生まれ。日本中央競馬会（JRA）に所属し、栗東トレーニングセンターを拠点に活躍した名調教師です。名馬エルウェーウィンやアキヒロホマレを手がけ、数々の重賞競走勝利に貢献しました。その輝かしい経歴と、競馬界への多大なる功績を紐解いていきましょう。

競馬一家に育ち、調教師の道へ

坪氏は、JRA騎手・調教師として名を馳せた坪重兵衛氏を父に持ち、調教師の坪正直氏を叔父に持つ生粋の競馬一家に生まれ育ちました。阪神競馬場の厩舎で幼少期を過ごしましたが、自身は乗馬経験はありませんでした。しかし、宝塚高等学校2年生の時、将来の進路として調教師を意識するようになり、北里大学獣医学部へ進学。在学中に父・重兵衛氏が他界するという悲しみを経験します。

大学卒業後の1975年、栗東トレーニングセンターの戸山為夫厩舎に入厩。厩務員から調教助手へとキャリアを積み重ね、1983年に調教師免許を取得します。同期7名という狭き門を突破しましたが、管理馬房の都合でしばらく技術調教師として研鑽を続けました。そして、1985年に念願の調教師として開業。

アキヒロホマレ、エルウェーウィンとの出会い

開業翌年の1987年には、管理馬アキヒロホマレが6勝を挙げ、JRA賞最優秀アラブに輝きます。この活躍により、坪氏自身も優秀調教師賞を受賞。続く1988年には、アキヒロホマレがセイユウ記念を制し、坪厩舎にとって初の重賞勝利をもたらしました。

1992年、GI競走初制覇となる快挙を成し遂げます。管理馬エルウェーウィンが朝日杯3歳ステークスを制したのです。エルウェーウィンはその後低迷期に入りますが、1996年のアルゼンチン共和国杯で復活勝利。約3年11ヶ月という最長間隔での複数重賞勝利という記録（当時）を打ち立てました。

その他の活躍馬と引退

エルウェーウィン以外にも、ムービースター、シゲルデッドクロス、ウィッシュドリームなど、数々の活躍馬を管理。これらの馬と共に数々の重賞タイトルを獲得しました。しかし、2007年以降は年間勝利数が一桁台となり、2017年2月28日、調教師を引退。

競馬界への貢献とその後

坪憲章氏は、長きに渡りJRA調教師として活躍し、数々の名馬を育成、数々の重賞勝利に貢献しました。その功績は、競馬界に大きな足跡を残しています。父、叔父と続く競馬一家としての伝統を守り、自身もまた、後進の育成に貢献したでしょう。引退後も、その経験と知識を生かし、競馬界に貢献していることでしょう。

参考文献

芦谷有香『栗東厩舎探訪記（1）』（翔雲社、1999年）ISBN 978-4921140021
『優駿』1985年9月号（日本中央競馬会）今井昭雄「厩舎ぶらり歩き - 船出のとき 橋田満調教師」
『優駿』1989年3月号（日本中央競馬会）「杉本清の競馬談義・第48回 - 坪憲章調教師」

関連項目

橋田満 - 日本中央競馬会調教師。宝塚高等学校の同窓生。

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