城 (世にも奇妙な物語)

ドラマ『城』の紹介

『城』（しろ）は、1992年に放送されたテレビドラマ『世にも奇妙な物語』のエピソードであり、第225作目にあたります。本作品は、演出家の堤幸彦が『TRICK』の監督として知られる中、唯一手がけた作品としても記憶されています。このドラマでは、特異な設定とサスペンス要素が組み合わさったストーリーが展開されるため、多くの視聴者に強い印象を残しました。

ストーリー概要

物語は、大手自動車メーカーである南部自動車の東京支部に勤務している吉沢圭介という名の会社員を主人公にしています。彼は、親会社である株式会社南部からの決裁を得るために、本社がある南部市を訪問します。この南部市は、官公庁を除くすべての施設が南部の関連会社で形成されており、中心には圧倒的な存在感を示す南部の本社ビルが「城」のようにそびえ立っています。圭介は、この異様な景観に心を奪われ、内心不安を抱きながら本社へと足を運びます。

本社に到着すると、受付は圭介を含む多くの人々で混雑しており、皆が決裁を求めて待機しています。圭介は、待ち時間の中で美幸という女性と出会います。彼女の助けを借りて受付を済ませた圭介ですが、そこから待ち受けていたのは予想外の指示でした。彼は本社の関係者から直接出向して決裁を受けるよう命じられ、多くの手続きを強いられます。苛立って上司に報告するものの、その指示には従わざるを得ず、南部市での長期滞在が決まります。

関連会社を訪れた圭介は、まるで無限ループにでも陥ったかのように、次々と出向先を変えられながら過ごします。不安が募る中で美幸と再会し、一緒に住むことになります。その生活の中で、美幸から南部本社の秘密を明かされます。それによると、本社へのアクセスを持つ人物は限られており、多くの社員が一生を決裁待ちで終えてしまうという実態に圭介は愕然とします。それでも、彼は美幸との日々に溺れ、不安を忘れようとします。

数年後、結婚を果たし、安定した生活を期待する圭介。しかし、関連会社での仕事は変わらず、彼は依然として決裁が得られない日々に苦しんでいました。ある日、自宅に本社からの指示がFAXで送られてきて、今後は自宅で待機するよう命じられます。指示に従う圭介でしたが、十数年後に一通の指示が届くまで、彼の運命がどのように変わるのかは誰にもわかりません。

スタッフとキャスト

本作品の企画はテレ朝の清水賢治と石原隆が担当し、プロデューサーは日活の両沢和幸が務めました。原作は著名な作家、諸星大二郎による「城」であり、脚本は菅谷敦夫が手がけ、監督には堤ユキヒコが名を連ねています。また、音楽は蓜島邦明が担当しました。

キャストには、吉沢圭介役をうじきつよし、美幸役を戸川京子が演じています。その他にも、息子役の泉見洋平や、受付の秋山菜津子、スタッフの二瓶鮫一や加賀谷純一など、多彩な役者陣が揃っています。

まとめ

『城』は、圭介という一人の会社員の苦悩と愛を描いたドラマであり、権力の象徴ともいえる本社という「城」に翻弄される姿が観る者に深い印象を残します。これにより、視聴者は社会の冷徹な一面を体感し、同時に人間関係の大切さも感じさせられる作品となっています。

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