城中村

城中村とは

城中村（じょうちゅうそん）は、中国の都市化に伴い生じる特異な現象であり、主に1978年の改革開放以降の都市拡大の中で見られます。この現象は特に珠江デルタや長江デルタ、環渤海経済圏、そして直轄市や省都などの経済的に進んだ地域で顕著です。既存の農村が都市に取り込まれ、「高層ビルに囲まれた村」という形態が見られます。具体的には、北京、上海、広州、深圳などの都市において明確に観察されます。

城中村の特徴

城中村は、一般的に都市の管理から外れた地域であり、規制や管理が不十分な状態にあります。このため、違法な建物が密集し、雑然とした環境が形成されます。また、人口が集中しているため、治安が不安定であり、基本的なインフラも整備されていない場合が多いです。そのため、都市の「病巣」とも見なされることがあります。

地理的には、城中村は都市に属するとみなされますが、社会的には伝統的な農村の要素も保持しています。このため、農村と都市の二重性が存在し、中国特有の戸籍制度や土地所有制度によって複雑さを増しています。

多くの研究者は、城中村をスラムとして捉えますが、スラムとは必ずしも一致しません。城中村は土地が村単位で集団所有されているため、スクワッターズ（不法占拠者）との違いがあります。スクワッターは私的に占有した不法な土地であり、所有権が存在しませんが、城中村の土地は合法的に存在します。

日本の事例との比較

日本の大都市にも城中村に類似した地域が存在しますが、規模は小さくなることが一般的です。駅周辺は再開発されやすい一方で、駅から離れた地域には古ぼけた商店街が見受けられます。例えば、八百屋や町中華、駄菓子屋などがありますが、経営は必ずしも順調とは言えず、高齢の夫婦が維持している場合が多いです。彼らが亡くなると、土地は再開発され、新しい住宅や家族が入ってくることになります。その過程で、商店がコンビニエンスストアに変わると、地域は活気を取り戻すかもしれません。

定義と研究の現状

「城中村」という用語は2000年頃から中国の学術界で使われ始めましたが、統一された定義は存在しません。研究者によって様々な観点から異なる定義が展開されています。都市景観の観点では、周囲と異なる景観を持つ劣悪な住環境や非整備な公共施設を持つ地域として位置づけられています。

結論

城中村は、中国における都市化の独特な現象であり、農村的要素と都市的要素が交錯する複雑な地域と言えます。この特性は、急速な都市化がもたらす社会的、経済的な変化の中で重要な考察の対象となっています。

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