城谷歩

城谷 歩：演劇から怪談へ、異色のキャリアを歩む表現者

城谷 歩（しろたに わたる）は、1980年2月16日に北海道小樽市で生まれました。血液型はB型、みずがめ座です。俳優、演出家、脚本家として活動を開始した後、現在はプロの怪談師としても絶大な支持を得ており、YouTuber、作家といった多岐にわたる顔を持ちます。所属事務所は株式会社サン・オフィスおよび株式会社センテナリア。北海道小樽桜陽高等学校、北海学園大学を卒業しています。なお、一部媒体で下の名前が「渉」と表記されることがありますが、これは誤りです。

演劇の道を志す

城谷氏の表現活動は、15歳を迎えた1995年に舞台演劇から始まりました。高校卒業後、1998年には清水友陽氏が主宰する劇団清水企画（現：劇団清水企画）に入団し、演劇人としての基礎を築きます。2000年には自身の劇団「深想逢嘘（うたたね）」を旗揚げし、脚本執筆、演出、そして出演と、中心的な役割を担いました。この劇団は、2010年に上演した「虚苑（コエン）」が、日本演出者協会主催の若手演出家コンクールで全国ベスト4に選ばれるなど、高い評価を得ます。また、2004年にはTEAM-NACSの戸次重幸（当時：佐藤重幸）氏らと共に演劇ユニット「ロックメン」を結成し、旗揚げ公演を行うなど、北海道の演劇界で精力的に活動を展開しました。しかし、劇団深想逢嘘は2011年に無期限での活動休止を発表し、城谷氏のキャリアは転換期を迎えます。

怪談師としての新たな挑戦

演劇活動休止後、城谷氏は全く異なる分野で才能を開花させます。2012年1月、怪談ライブバー・スリラーナイト札幌すすきの本店にて、怪談の語り手としてデビュー。同年7月には正式に怪談師としての活動を開始しました。札幌で実力を磨いた後、2014年5月にはスリラーナイト六本木店がオープンするのに合わせて上京し、活動の拠点を移します。六本木でも怪談師としての人気を不動のものとしますが、2018年1月には同店を退店し独立。プロのフリーランス怪談師として独自の道を歩み始めました。

「城谷節」と語りの世界

怪談師・城谷歩の最大の魅力は、「城谷節」と称されるその独特な語り口です。まるで落語家や講談師、あるいは活動弁士を彷彿とさせる抑揚豊かな語りは、聴く者を瞬く間に怪談の世界へと引き込みます。この独自のスタイルは、誰かに師事したものではなく、落語や講談、弁士の語りを独学で深く研究することで確立されました。これまでに怪談師として行った口演回数は1万回を超え、実話怪談から古典まで、約500話もの豊富な持ち話を有しています。城谷氏自身が怪談師になったきっかけもユニークです。俳優仲間と飲みに行った際に、酒の肴代わりに怪談を語っていた経験があり、31歳で無職となり途方に暮れていた時、以前の語りを覚えていた知人から、札幌にオープンする怪談ライブバーでの面接を勧められたことでした。上京当初は芝居をメインにするつもりだったと言いますが、怪談師としての才能が城谷氏を新たな道へと導きました。

多角的な表現活動

怪談師としての活動と並行して、城谷氏は表現の場を広げています。2018年1月からはオーディオブック通販サイト「でじじ」にて「実説城谷怪談」の配信およびCDリリースをスタート。同年6月には自身のYouTubeチャンネル「城谷の世界城谷怪談」を開設し、定期的な怪談配信を開始しました。その後も、「聞いてすぐ城谷節怪談」や「城谷歩のパタパタちゃんねる」といったチャンネルを開設し、YouTubeでの活動を活発に行っています。作家としても、「恐怖怪談 呪ノ宴」「怪談師怖ろし話」シリーズなどの著作を竹書房より出版。また、「怪奇蒐集者」シリーズなど、多数の怪談DVDにもその語りを収録しています。2020年には自身初の全国ツアー「全国行脚 邂逅」を敢行し、全国12都市で公演を行うなど、ライブでの活動も精力的に行っています。

人となりとエピソード

城谷氏のパーソナルな一面も魅力の一つです。趣味は絵を描くことで、YouTubeチャンネル初期に使用していた女性の幽霊画は自身で描いたものです。これは、著名な幽霊画の使用料の高さに驚いたことがきっかけだったとか。また、島田秀平氏のチャンネル登録者数突破記念に、島田氏の似顔絵色紙をプレゼントしたこともあります。私生活では、18歳で出会い、10年の交際期間を経て結婚した女性がいます。「嫁谷」として氏のSNSやYouTubeにも度々登場しています。プロポーズのエピソードも印象的で、無職で貯金も友人も失い、これ以上底はないと思った状況で別れるつもりでプロポーズしたところ、相手から「やっと言ってくれた」と言われたと語っています。意外な経歴としては、25歳の頃に約1年間、陸上自衛隊（東千歳駐屯地）に入隊していた経験も持ち合わせています。

メディアでの露出

城谷氏はその個性的なキャラクターと語りで、多くのメディアにも出演しています。テレビでは「怪談のシーハナ聞かせてよ。」「実話怪談倶楽部」といった怪談専門番組はもちろん、「閉店ガラガラにはまだ早い！」「Rの法則」「私が女優になる日_ Season2」などバラエティや教育番組、ドラマにも出演。ラジオでは「島田秀平とオカルトさん」「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」といった人気番組にゲスト出演しています。インターネット番組や映画「妖怪剣客」への出演もあり、その活動は多岐にわたります。

演劇で培った表現力と、怪談への深い造詣、そして独自の語り口を持つ城谷歩氏。その活動は怪談師という枠に収まらず、様々な形でファンを魅了し続けています。

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