東千歳駐屯地

東千歳駐屯地（ひがしちとせちゅうとんち、JGSDF Camp Higashi-Chitose）は、北海道千歳市祝梅に所在する陸上自衛隊の駐屯地です。第7師団司令部をはじめ、多くの部隊が駐屯しており、北部[[方面隊]]の中核をなす重要な拠点となっています。

概要

駐屯地司令は、第7師団副師団長が兼務しています。駐屯地に隣接する北海道大演習場（東千歳地区）は、通称「東千歳演習場」と呼ばれ、大規模な演習が実施されます。また、駒里演習場も利用されています。

総敷地面積は約590万平方メートルと、陸上自衛隊の中で最大の広さを誇ります。この広大な敷地には、第7師団の隷下部隊の多くに加え、陸上自衛隊最大の普通科連隊や、最大級の高射特科団など、北部[[方面隊]]直轄の部隊が多数駐屯しています。

駐屯地内には隊員食堂や売店が3ヶ所設置されており、隊員の生活を支えています。石狩平野の中心に位置し、南は苫小牧市、北は札幌市、東は十勝平野に広がる地域を見渡せる、北海道防衛の要衝となっています。

かつて、正門には「我らここに励みて国やすらかなり」と記されたポールオブジェが設置されていましたが、2018年9月の台風と胆振東部地震の影響で基礎部分が脆弱化し、安全性の確保が困難になったため、同年11月に撤去されました。現在は、白看板に同じ文言が書かれていますが、2019年4月から5月にかけて、2代目となるオブジェが設置される予定です。

また、駐屯地内には北海道中央バスの路線バス（東部隊線）が乗り入れており、バスが敷地内に進入する際には、正門で一旦停止し、警衛隊の歩哨が乗客の身分証を確認しています。

周辺の市民からは「東部隊」という愛称で親しまれています。

沿革

日本海軍時代

1942年（昭和17年）、水谷政次郎氏が農場用地を大日本帝国海軍に寄付し、第2千歳飛行場の滑走路が整備されました。当初は800mでしたが、後に1300mに延伸されました。1943年（昭和18年）には、東京商科大学北遣隊によって誘導路が完成し、1944年（昭和19年）には、第2千歳飛行場の東部隣接地に第3千歳飛行場の滑走路（1200m）が完成しました。1945年（昭和20年）には、第2千歳飛行場の滑走路が2500mに延伸されました。

米軍時代

1945年（昭和20年）9月、米軍によって接収され、キャンプ千歳第2・第3地区と改称されました。第2千歳基地の滑走路は予備滑走路として使用されました。同年9月18日には、第2千歳飛行場から3機のB-29がシカゴまで無着陸飛行を行い、戦後初の太平洋横断飛行となりました。

陸上自衛隊東千歳駐屯地

1954年（昭和29年）8月25日、東千歳駐屯地が開設され、旧米軍の300万坪の土地が使用されました。

その後、多くの部隊が移駐・新編され、駐屯地は拡大していきました。

主な部隊の移駐・新編の経緯は以下の通りです。

- 1954年8月30日：第10普通科連隊が大村[[駐屯地]]から移駐
- 1954年9月20日：第1特科団本部および本部中隊が札幌[[駐屯地]]から移駐
- 1954年9月23日：第11普通科連隊が小月駐屯地から移駐
- 1954年9月30日：第9普通科連隊（第2大隊欠）が善通寺[[駐屯地]]（主力）および松山駐屯地（第3大隊）から移駐
- 1954年10月18日：第1高射特科群本部および本部中隊、第301高射運用隊が北千歳[[駐屯地]]から移駐
- 1954年10月20日：第116特科大隊が浜松駐屯地から移駐
- 1954年10月30日：第9普通科連隊（第2大隊欠）、第10普通科連隊が真駒内[[駐屯地]]に移駐、第5特科連隊が北千歳[[駐屯地]]から移駐
- 1954年12月15日：第106特科大隊が函館[[駐屯地]]から移駐
- 1955年6月25日：開庁式典実施
- 1955年11月10日：第106特科大隊が真駒内[[駐屯地]]へ移駐
- 1956年1月15日：第4特科群本部および本部中隊、第117特科大隊が編成完結、第105特科大隊、第113特科大隊を第4特科群隷下に編合
- 1956年1月25日：第116特科大隊を母体に第118特科大隊（M1 90mm高射砲）が編成完結
- 1957年11月15日：第5特科連隊本部および本部中隊、第4大隊が帯広[[駐屯地]]に移駐
- 1958年6月17日：第120特科大隊が編成完結
- 1959年8月20日：第121特科大隊が真駒内[[駐屯地]]から移駐、第113特科大隊が真駒内[[駐屯地]]に移駐
- 1961年8月26日：第5特科連隊第5大隊が帯広[[駐屯地]]に移駐
- 1962年1月18日：第7混成団が真駒内[[駐屯地]]から移駐、第1特科団本部が北千歳[[駐屯地]]へ移駐
- 1962年3月31日：第4特科群が上富良野[[駐屯地]]へ移駐
- 1962年7月10日：第105特科大隊が美幌駐屯地へ移駐
- 1962年7月13日：第24普通科連隊が真駒内[[駐屯地]]から移駐
- 1962年8月15日：第7混成団を改編し、第7師団に称号変更
- 1964年3月24日：第1高射特科群第118特科大隊第4中隊および無線誘導標的隊が静内分屯地へ移駐
- 1965年1月20日：第121特科大隊が廃止、地対空誘導弾改良ホークを運用する第102高射大隊および第302高射搬送通信隊が東千歳駐屯地で、第102高射直接支援隊が島松[[駐屯地]]で編成完結
- 1970年8月5日：第116特科大隊が飯塚駐屯地へ移駐
- 1971年3月25日：第102高射大隊が廃止、隷下の4個中隊を第1高射特科群直属に改編
- 1971年3月26日：第126特科大隊が新編
- 1971年7月：北千歳[[駐屯地]]静内分屯地が東千歳駐屯地静内分屯地に改称
- 1971年7月31日：第1陸曹教育隊が真駒内[[駐屯地]]から移駐
- 1972年3月24日：第1高射団本部および本部付隊が編成完結
- 1972年7月1日：無線誘導標的機隊を第302無線誘導機隊に称号変更
- 1976年8月20日：第1高射団を第1高射特科団に改称
- 1978年3月25日：第126特科大隊が美唄駐屯地へ移駐
- 1981年3月25日：第7師団が機甲師団に改編、第24普通科連隊がえびの[[駐屯地]]へ移駐
- 1981年8月4日：通信標定隊が久里浜[[駐屯地]]から移駐
- 1981年9月21日：通信標定隊が第1電子隊に改編
- 1985年7月15日：東千歳駐屯地静内分屯地が静内駐屯地に昇格
- 1996年3月29日：第1陸曹教育隊上級陸曹教育中隊が倶知安[[駐屯地]]へ移駐
- 2000年3月28日：後方支援体制移行に伴う改編、北部方面後方支援隊第101高射直接支援大隊（第1高射特科団を支援）を新編、第7後方支援連隊の武器大隊を廃止し、第1整備大隊、第2整備大隊に改編
- 2004年3月29日：第1陸曹教育隊を北部方面教育連隊に改編（第3教育連隊（真駒内[[駐屯地]]）と統合）
- 2011年4月22日：北部方面教育連隊を北部方面混成団に改編、第1陸曹教育隊が再編、北部方面混成団の隷下部隊となる
- 2023年3月15日：北部方面輸送隊（第304輸送中隊および第305輸送中隊を除く）が真駒内[[駐屯地]]から移駐、陸上自衛隊中央輸送隊第1方面分遣隊が真駒内[[駐屯地]]から移駐
- 2024年3月21日：第1電子隊が電子作戦隊隷下の第302電子戦中隊に改編、第1高射特科群第302高射中隊が北千歳[[駐屯地]]から移駐

駐屯部隊・機関

陸上総隊隷下部隊

電子作戦隊
第302電子戦中隊

北部[[方面隊]]隷下部隊

第7師団
第7師団司令部
第11普通科連隊
第7特科連隊
第7高射特科連隊
本部管理中隊
第1高射中隊
第2高射中隊
第3高射中隊
第4高射中隊
第7後方支援連隊（第7師団を支援）
第7施設大隊
第7通信大隊
第7偵察隊
第7化学防護隊
第7師団司令部付隊
第7音楽隊
第1高射特科団
第1高射特科団本部
第1高射特科団本部付隊
第1高射特科群
北部方面後方支援隊
第101高射直接支援大隊
第101高射直接支援大隊本部
第101高射直接支援大隊本部付隊
整備隊（第1高射特科群を支援）
北部方面輸送隊
北部方面輸送隊本部
北部方面輸送隊本部付隊
第310輸送中隊
第313輸送中隊
第314輸送中隊
北部方面混成団
北部方面混成団本部
第1陸曹教育隊（上級陸曹教育中隊を除く）
第52普通科連隊
重迫撃砲中隊
東千歳出頭（即応予備自衛官出頭地）
北部方面システム通信群
第101基地システム通信大隊
第313基地通信中隊
北部方面会計隊
第324会計隊
北部方面指揮所訓練支援隊
東千歳駐屯地業務隊

防衛大臣直轄部隊・機関

警務隊
北部方面警務隊
第122地区警務隊
陸上自衛隊中央輸送隊
第1方面分遣隊

特別の機関・外局

情報本部
東千歳通信所（情報本部直属のシギントであり、陸・海・空混成の隊員で運営する）
防衛装備庁
千歳試験場

史料館

施設内には「第7師団史料館戦車博物館」があります。占守島の戦いにおける旧日本陸軍戦車第11連隊の慰霊碑が、池田末男連隊長の遺族によって愛知県の霊園で管理されていましたが、2023年に史料館のある東千歳駐屯地に寄贈され、同館の中庭に移設されました。

周辺の幹線交通

高速道路：道央自動車道千歳IC
一般道：国道36号、国道234号、国道337号、北海道道16号支笏湖公園線、北海道道77号千歳インター線、北海道道226号舞鶴追分線、北海道道258号早来千歳線
鉄道：JR北海道千歳線南千歳駅

港湾

特定重要港湾および中核国際港湾：苫小牧港

飛行場

新千歳空港
千歳基地

重要施設

苫東厚真発電所（出力165.0万kW。石炭）（勇払郡厚真町）
苫小牧発電所（出力25.0万kW。石油）（苫小牧市）
苫小牧東部国家石油備蓄基地（平成16年（2004年）1月現在：備蓄施設容量約640万kl中約542万klを備蓄）（苫小牧市、厚真町）
北海道石油共同備蓄基地（平成16年（2004年）1月現在：備蓄施設容量約350万kl中約240万klを備蓄）（苫小牧市、厚真町）

もう一度検索