城野勝博

城野勝博

1944年8月17日、佐賀県に生を受けた城野勝博氏は、プロ野球界で投手として活躍した人物です。

高校時代

城野氏は鳥栖工業高校に進学し、エースとしてチームを牽引しました。高校1年生の1960年夏には、チームを率いて甲子園県予選を勝ち抜き、西九州大会決勝まで駒を進めましたが、残念ながら鹿島高校の宮崎昭二投手に完封負けを喫し、聖地への道を阻まれました。3年生となった1962年夏にも再び西九州大会に進出しましたが、準決勝で大崎高校に敗れ、ついに甲子園出場は叶いませんでした。

広島カープ入団とプロでの歩み

高校卒業後、城野氏は1963年に広島カープに入団し、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。入団当初から、重く沈む速球と切れ味鋭いシュートを武器に、一年目から早速一軍のマウンドを踏みました。しかし、彼はキャリアを通じて、好投しても味方打線の援護に恵まれず、勝利投手となる機会を逃す不運に度々見舞われました。これが、彼が本来持っていた力を一軍の成績として十分に発揮できなかった一因とも言われています。

プロ入りから数年を経て、1967年にようやく一軍での初勝利を手にします。さらに同年10月には、対大洋ホエールズ戦でプロとして初の完封勝利を記録し、一軍での確かな足跡を残しました。しかし、この記録を境に、その後は再び一軍での成績が伸び悩む時期が続きました。

二軍での圧倒的な記録

一軍での苦闘があった一方で、城野氏は二軍、特にウエスタン・リーグにおいては傑出した成績を残しました。彼は二度にわたり、ウエスタン・リーグの最多勝利投手のタイトルを獲得しています。具体的には、1965年と1967年にこの栄誉に輝き、二軍ではリーグを代表する存在でした。

彼の二軍でのキャリアで最も特筆すべきは、二度のノーヒットノーラン達成という金字塔です。一度目は1965年8月19日の阪神タイガース戦、そして二度目は1968年9月24日の南海ホークス戦で、いずれも相手打線を完全に封じ込める快投を見せました。二軍の公式戦において、個人で二度ノーヒットノーランを達成した投手は、イースタン・リーグ、ウエスタン・リーグの両リーグを通じて、城野勝博氏が史上初でした。この偉業は、彼の高い投球能力と二軍での支配力を明確に示しています。

南海ホークスへの移籍と引退

1969年シーズン終了後、城野氏は内野手の国貞泰汎氏との交換トレードで、同僚の古葉毅氏と共に南海ホークスへ移籍しました。新たなチームでの活躍が期待されましたが、南海では残念ながら一軍での登板機会に恵まれず、主にファームでのプレーに終始しました。そして、移籍から一年も経たない1970年のシーズン途中で、長年のプロ野球選手としての現役生活に終止符を打ちました。

キャリアの総括

城野勝博氏のプロ野球キャリアは、一軍では不運な面も見られましたが、二軍においてはウエスタン・リーグの最多勝を複数回獲得し、さらに史上初の二度ノーヒットノーランという歴史的な快挙を成し遂げるなど、輝かしい足跡を残しました。背番号はプロ入りから引退まで、58、20、46、24と変遷しました。その記録は、特にファームにおける彼の卓越した能力と実績を今日に伝えています。

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