埒免古墳

埒免古墳の概要

埒免古墳（らちめんこふん）は、神奈川県伊勢原市に位置し、三ノ宮古墳群に属する6世紀末から7世紀初頭に築造された円墳です。発見当初は、恵泉女学園園芸短期大学の敷地内で見つかり、「恵泉女子短大構内古墳」としても知られていました。これは、大学の建設工事中に石室が偶然発見されたことから始まります。

古墳の直径は38メートルで、墳丘の周囲には約5メートルの周溝が存在しています。内部には幅約2メートル、長さ約4.8メートルの玄室と、片袖式の横穴式石室が設けられています。この石室は、自然石の巨石を巧みに積み上げて築造されており、埋葬位置としても重要な役割を果たしています。埒免古墳は、相模国では非常に大きな古墳であり、被葬者には相武国造が想定されています。

発見経緯と発掘過程

埒免古墳が発見されたのは1968年のこと。工事中に出土品が持ち出されてしまったものの、その努力により銀装の装飾大刀や刀子、金銅製の馬具、鏡、鉄鏃、琥珀製の棗玉などが回収され、現在は比々多神社にある三ノ宮郷土博物館に収蔵されています。発見当初から保存が図られたものの、古墳の詳細は長い間不明のままでしたが、1994年から2002年にかけての調査により、その重要性が再認識されました。

古墳群との関係

埒免古墳は、丹沢山地の南麓に位置する丘陵地帯にあり、近隣には相模国三ノ宮古墳群があります。6世紀末から7世紀初頭にかけて、この地域で古墳の造営が活発に行われていたことが裏付けられています。特に、埒免古墳と並び称される登尾山古墳は、規模や内容においても顕著な存在です。埒免古墳の築造は、相模川下流域の首長に対する支配力を示していると考えられています。

古墳の特色

埒免古墳の出土品は、相模地域の古墳時代を知る上で非常に重要な手がかりです。その出土品には、地域を代表するような銀装の装飾大刀や金銅製の馬具が含まれ、これらの副葬品は当時の相模地域が抱えていた社会構造や文化的側面を示唆しています。特に、相模地方は古墳時代を通じて低調な造営傾向がありながらも、特異な地域として早くからヤマト王権とのつながりを持っていたことが考えられています。

まとめ

埒免古墳はその構造や出土品から、古墳時代の相模地域における重要な地点であることが確認されています。古墳の蓄積された歴史は、地域の社会情勢や文化に影響を与え、また古墳時代後期には他の地域と異なる道を辿ることになります。埒免古墳を通じて、当時の政治的背景や地域間の関係性が見えてくるのです。このように、埒免古墳は古代日本の王権の広がりを示す一つの象徴的な存在であり、今後もさらなる研究が期待されます。

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