執事 (キリスト教)

執事とは

執事（しつじ）は、キリスト教における重要な役職のひとつで、その役割は各教派や時代によって異なります。元々は新約聖書に登場する「ディアコノス」というギリシア語に由来しており、この言葉は「奉仕者」や「助ける者」という意味を持っています。主に教会の運営や奉仕活動に従事し、信者たちの生活を支える役割を果たしています。

聖書での起源

執事の役職は、新約聖書の『使徒言行録』6章に基づいています。そこでは、初代教会が食事の世話をするために選ばれた七人の男性が登場し、彼らの役割は教会の運営を円滑にすることでした。このように、執事は教会の実務的な側面を担う重要な存在として位置づけられています。

教派による呼称の違い

執事という呼称も、日本の様々な教派において異なる名称で呼ばれています。カトリック教会では「助祭」と称され、正教会では「輔祭」と呼ばれます。また、プロテスタント各教派では一般的に「執事」という表現が使われています。これらの違いは、教義や教会の文化に影響されています。

正教会における役割

日本ハリストス正教会では執事は「輔祭」と呼ばれ、奉神礼において主体的な役割を果たすことが要求されます。彼らは特定の服装を着用し、礼拝中は補助的な役割を担います。ただし、教会の運営に関与する信徒も「執事」と呼ばれることがありますが、これはディアコノスとは異なる役割です。

カトリック教会における助祭

カトリック教会の助祭は司祭に次ぐ聖職位であり、宗教儀式や教会活動において重要な位置を占めています。助祭は、講話を行なったり、聖書を読み上げたりといった役割があり、司祭の補佐を務めます。特に、聖餐式においては重要な役割を担っています。

プロテスタント教会における役割

プロテスタントにおいても執事は教会活動や奉仕に従事します。長老制を持つ教会では、会計や福祉活動を専門的に担当し、教会の基盤を支える役割を果たします。一方、会衆制の教会では、執事はすべての役員を含む幅広い意味での「神と教会員に奉仕する者」としての役割が重視されます。

日本ルーテル教団での執事

日本ルーテル教団においては、執事は教職者としての位置づけがあります。彼らは祭りや礼拝において牧師と共にサービスを提供することが求められますが、原則として地域教会の責任教職には就けません。地域教会が執事を招聘することはできないため、責任は地区教会会議に委ねられます。

まとめ

このように、執事という役職はキリスト教の中で多岐にわたる役割を果たしており、それぞれの教派によって異なる呼称や職務が存在します。執事は、信者の生活を支える大切な奉仕者として、各教会でその役割を果たしています。

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