基準電極

基準電極の種類と特徴

基準電極は、電極電位の測定において基準点を提供する重要な装置です。電極電位を正確に測定するためには、安定した電位の維持と再現性が必須です。本稿では、主に使用される基準電極の種類とその特性について詳述します。

標準水素電極 (SHE)

標準水素電極は、水素ガスと水素イオンの活量が1となる理想状態の水素電極です。この電極における電極反応は、以下のような酸化還元反応で説明されます。

$$
\ce{H^+ + e- <=> \frac{1}{2} H_2}
$$

水素電極の電位はネルンストの式を用いて表され、様々な状況下でも基準電位を提供します。また、ネルンストによって、この電極の標準電位は全温度範囲において0Vとされています。

可逆水素電極 (RHE)

可逆水素電極は、測定対象の溶液と同じpHで用いられる水素電極です。このため、pHの変化によって電極の電位も変動しますが、実験上は便利です。可逆水素電極の電位は、基準の変更が不要なため、同じ電解質を利用する際に特に重宝されます。

銀－塩化銀電極 (Ag/AgCl)

銀－塩化銀電極は、銀の表面を塩化銀で覆い、通常は飽和塩化カリウム水溶液に沈めた構造を持ちます。この電極は取扱いが容易で電位の再現性が高く、広く利用されています。電極反応は次のように表されます。

$$
\ce{AgCl + e- <=> Ag + Cl-}
$$

この電極の電位は、塩化物イオンの活量に依存しています。

カロメル電極 (SCE)

カロメル電極は、水銀と塩化水銀を用いた基準電極です。飽和塩化カリウム水溶液を用いた飽和カロメル電極が一般的です。この電極も比較的簡単に取り扱えますが、近年では水銀使用の問題から利用が減少しています。

パラジウム・水素電極 (Pd/H2)

パラジウム・水素電極は独特の特徴を持つ基準電極です。パラジウム内に水素が吸収され、平衡状態は水素分子の存在とH3O+イオンによって制御されます。この電極は、広い範囲で変動しない電位を提供する能力があります。

まとめ

基準電極は、電気化学における正確な電位測定に欠かせない存在です。標準水素電極、可逆水素電極、銀－塩化銀電極、カロメル電極、パラジウム・水素電極のそれぞれが持つ特性を理解することで、電気化学の実験や測定をより適切に行うことが可能となります。

もう一度検索