埼玉県立浦和商業高等学校

埼玉県さいたま市南区白幡にキャンパスを構える埼玉県立浦和商業高等学校は、地域で「浦商」の愛称で広く知られている公立の商業高校です。商業に関する専門知識と実践的なスキルを身につける教育を提供しています。

概要

2023年4月現在、本校には約794名の生徒が在籍しており、内訳は男子約365名、女子約429名となっています。かつて本校には定時制課程が設置されていましたが、埼玉県内の高校再編に伴い、その歴史に幕を下ろしました。2004年度をもって新規生徒の募集を停止し、2007年度末をもって廃止されたのです。これは、埼玉県立戸田高等学校（全日制）、埼玉県立与野高等学校（定時制）、埼玉県立蕨高等学校（定時制）が統合・再編され、2005年度から全日制・定時制・単位制を併せ持つ3部制の埼玉県立戸田翔陽高等学校として新たな体制に移行したためです。浦和商業高校の定時制廃止は、当時の在校生や関係者の間で大きな波紋を呼び、反対運動も展開されました。

教育方針と校風

本校の教育目標は、「個性を尊重し、真理を求め、自ら学ぶ意欲と未来を切り拓く能力を育てる」ことです。この目標を達成するため、学校全体で「自主・自律」という校風を大切にしています。生徒一人ひとりが社会の一員としての責任感を持ち、自ら考え行動できる力を育むことに重点が置かれています。その具体的な取り組みとして、体育祭や文化祭といった主要な学校行事の企画・運営を生徒自身が行っています。生徒会や各種実行委員会が中心となり、学校生活をより良くするための様々な活動を展開しており、生徒の主体性が尊重される環境です。

進路と資格取得

卒業後の進路は多岐にわたりますが、近年最も多いのは就職で、卒業生の約35%が実社会へと羽ばたいています。次いで専門学校への進学が約30%、四年制大学への進学は約25%程度となっています。商業高校としての専門性を活かし、在学中に様々な資格・検定取得を奨励しています。特に、全国商業高等学校協会が主催する簿記検定、情報処理検定、ワープロ検定、電卓検定といった商業系の検定試験に多くの生徒が積極的に挑戦しており、実社会で役立つ実践的なスキルを習得しています。過去には、応用情報技術者試験やITパスポート試験といった難易度の高い国家試験、日商簿記検定2級にも合格者を輩出しており、高い目標を持って学習に取り組める環境があります。

学校生活と部活動

本校では、生徒の多様な興味や関心に応えるため、活発な部活動が展開されています。運動部には、硬式野球部、サッカー部、陸上競技部、バスケットボール部、バレーボール部、テニス部、ボート部などがあり、多くの生徒が体力向上と競技力向上を目指して日々練習に励んでいます。文化部も、吹奏楽部、書道部、簿記部、電脳部、漫画研究部、演劇部など多種多様で、それぞれの分野で専門性を深めたり、文化祭での発表に向けて練習を重ねたりしています。

年間を通じて、生徒主体の様々な学校行事が実施されます。春には新学期の始まりを祝う遠足、6月にはクラス対抗で盛り上がる体育祭があります。7月と12月の学期末には球技大会が行われ、男子はフットサル、女子はドッジボールなどが定番の種目となっています。秋には本校最大のイベントである文化祭（浦商祭）が開催されます。ここでは、各クラスや部活動が趣向を凝らした模擬店やアトラクションを出展するほか、有志のグループによるバンド演奏やダンスなどのステージ発表も行われ、学校全体が活気に満ち溢れます。10月には、生徒アンケートで最も人気の高かった観光地（主に北海道か沖縄）へ修学旅行に出かけ、見聞を広めます。11月には、戸田市の彩湖周辺をコースとする強歩大会が実施されます。男子は約15km、女子は約10kmの距離を走り、心身を鍛える機会となります。この大会は2003年度に始まり、当初は男女とも10kmでしたが、2004年度から男子の距離が15kmに変更されました。その他にも、芸術鑑賞会や卒業生を送る予餞会などが催され、充実した高校生活を送ることができます。

著名な出身者

本校は、実業界、政治界、文化・芸能界など、様々な分野で活躍する多くの卒業生を輩出しています。主な出身者としては、第6代週刊少年マガジン編集長を務めた五十嵐隆夫氏、元モスフードサービス社長の清水孝夫氏、元日東富士製粉社長の下嶋正雄氏といった実業家、俳優の陶隆司氏や川崎龍一氏、音楽家の如月なつき氏などが挙げられます。また、旧制浦和商業学校からは衆議院議員として活躍した大成正雄氏も輩出されています。元プロ野球選手の染宮修支氏は定時制課程の卒業生です。

アクセス

埼玉県立浦和商業高等学校へは、JR東日本各線の浦和駅または武蔵浦和駅より、それぞれ徒歩約15分でアクセス可能です。

その他

かつての定時制課程については、その廃校までの道のりを追ったドキュメンタリー番組「テージセー〜1461日の記憶〜」が日本テレビ系列で放送されました。これは、本校の歴史の一側面を知る貴重な記録となっています。

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