堀尾青史

堀尾青史：紙芝居と児童文学、宮沢賢治研究に捧げた生涯

堀尾青史（1914年3月22日 - 1991年11月6日）は、日本の紙芝居作家、児童文学作家であり、特に宮沢賢治の研究家としてその名を知られています。兵庫県高砂市で生まれた堀尾は、明治大学を中退後、紙芝居の世界に足を踏み入れ、その創作活動を通じて子供たちの教育と文化に貢献しました。

紙芝居との出会いと創作活動

堀尾は、1935年に松永健哉との出会いをきっかけに紙芝居に深く関わるようになります。その前年には、東北大冷害の取材で岩手県を訪れ、そこで宮沢賢治が前年に亡くなっていたことを知りました。この出来事が、後の賢治研究へと繋がる重要な転機となります。戦後、堀尾は民主紙芝居集団や子どもの文化研究所に参加し、紙芝居の普及と発展に尽力しました。

宮沢賢治研究への情熱

宮沢賢治の実弟である宮沢清六との交流を通じて、堀尾は賢治の事績研究に本格的に取り組み始めました。1966年には、詳細な編年体伝記『年譜宮澤賢治伝』を刊行し、従来の年譜や伝記よりも踏み込んだ内容で賢治の実像に迫りました。この著書は大きな反響を呼びましたが、堀尾は未発掘の資料や賢治全集の不完全さを理由に増刷を固辞し、より詳細な研究を続けました。その集大成として、1977年には『校本宮澤賢治全集 第14巻』に掲載された「年譜」は、原稿用紙1000枚、300ページにも及ぶ浩瀚なものでした。この年譜は、後に単独書籍としても刊行され、堀尾の研究成果は後世の研究者にも大きな影響を与えています。没後編集された『【新】校本宮澤賢治全集』でも、堀尾の年譜が基本となっています。

児童文学作家としての活動

堀尾は、紙芝居だけでなく、児童文学作家としても数多くの作品を発表しました。1970年には『こねこちゃん』で高橋五山賞を受賞し、その才能は広く認められました。彼の作品は、子供たちの心を捉え、豊かな想像力を育むものとして評価されています。

子どもの文化研究所での活動

堀尾は、文民教育協会子どもの文化研究所の第3代所長を務め、子供たちの文化活動の振興に尽力しました。彼の生誕100年を記念して、2015年には「堀尾青史賞」が創設され、紙芝居文化の振興に貢献した個人や団体を顕彰しています。

主な著書

堀尾青史は、数多くの著作を残しました。以下に代表的なものを挙げます。

『いぬ えとおはなし』
『日本の子どもの歴史』
『ぺんぎんのおやこ』
『たんぼのなかの一けんや』
『こうさぎピンク』
『小林一茶 孤独の俳人』
『フォスター』
『うみのたんけん』
『はりきりぼうやがんばる 意欲のある子にする童話』
『年譜宮沢賢治伝』
『おはなしうちゅうめぐり 1年生』
『おしゃもじ天狗 わたしの西鶴』
『しらさぎとあきひこ』
『嵐をゆく勝海舟』
『宮沢賢治』
『ぎんの川』
『「しあわせ号」ゴーゴー』
『カンナカムイのたたかい』
『保育童話 1 お話づくり』
『のぎくの咲く道 ちえおくれの子らとともに』
『松葉づえの少女』
『夕べの祈り 農民画家・ミレー』
『こねこのしろちゃん』
『銀河の旅人-宮沢賢治』
『ぶたのブリアン大かつやく』

紙芝居作品

堀尾は、多くの紙芝居作品も手掛けました。

『やまからうみから』
『こぐまのクリスマス』
『おつきさまおんがくかい』
『おねぼうなしょうぼうさん』
『クリスマスのこいぬ』
『こねこちゃん』
『どうぶつうんどうかい』
『にじのエスカレーター』
『だんぷ・だんくろう』
『ぼくちゃんてだあれ』
『わすれんぼうのサンタさん』
『みんなでげきあそび』

共編著・翻訳

堀尾は、共編著や翻訳も行いました。

『幼児の喜ぶお話の本』
『日本なぞとふしぎの物語』
『日本ユーモア文学全集』
『おはなしりかあそび たのしいじっけんとてじな 1～4年生』
『宮沢賢治童話集 全1冊版』
『紙芝居 創造と教育性』
『校本 宮澤賢治全集』
『いわさきちひろ』
『父が語る太平洋戦争』
『宮沢賢治年譜』
『心をつなぐ紙芝居』
『ゆうれい船』
『つばさとてんし』
* 『ジャングル・ブック』

晩年と遺産

1991年9月には、花巻市から宮沢賢治賞を受賞しましたが、その2ヶ月後に77歳で生涯を閉じました。堀尾青史の業績は、紙芝居と児童文学の分野、そして宮沢賢治研究において、今もなお大きな影響を与え続けています。

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