堀川 (京都府)

京都の歴史を彩る堀川：水流復活と都市景観

堀川は、京都市を南北に流れる淀川水系の河川です。その歴史は古く、平安京造営以前から存在した自然河川を起源とし、平安京の建設とともに運河として整備されました。この記事では、堀川の地理、歴史、そして近年行われた水辺環境整備事業について詳しく解説します。

堀川の地理

現在の堀川は、琵琶湖疏水分線の水を利用しています。その流れは、賀茂川の下をくぐる地下導水管から始まり、紫明通・堀川通の中央分離帯に整備された水路を経て、今出川通で開渠部へと繋がります。開渠部は一条通の一条戻り橋から御池通まで続き、そこから南は再び暗渠となります。西本願寺の東でわずかに地上に姿を現しますが、その後は堀川通の地下を流れ、近鉄京都線上鳥羽口駅の西で鴨川と合流します。

堀川の歴史

平安京造営以前には、古烏丸谷や古堀川谷に自然の河川が流れていたと考えられています。これらの川を改修し、堀川小路に沿う運河としたのが堀川の起源です。平安時代には、物資の運搬や貴族の庭園への水の供給に利用され、後には農業用水や友禅染にも用いられました。江戸時代の地図には、四条堀川から西に分流する四条川が描かれていますが、現在その姿を見ることはできません。

鴨川付け替え説を巡って

堀川の歴史を語る上で欠かせないのが、賀茂川（鴨川）の流路に関する議論です。かつては、平安京の造営に際して賀茂川の流路を人為的に変更したという「鴨川付け替え説」が有力でしたが、1990年代以降、地質学的な研究から疑問が呈され、「付け替えはなかった」とする説が広まりました。しかし、近年、この「非付け替え説」に対する批判も出てきており、付け替え説が再評価される傾向にあります。堀川は、都市河川として平安建都以来水運の用を担いそれは明治期まで続いていました。

水流の消滅と復活

第二次世界大戦後、賀茂川の改修による水源の喪失や下水道の整備により、堀川の水流はほぼ消滅しました。昭和後期には、今出川通の北にあった支流の小川が琵琶湖疏水分線の終点となっていましたが、大雨のたびに合流式下水管から溢れた水が堀川に流れ込み、浸水被害が発生していました。そのため、河川改修によって小川などの流路が閉鎖され、五条通から御池通までの間も暗渠化されました。川底には礫が敷き詰められていましたが、景観を損ねるためコンクリートで固められました。こうして、堀川は平時には水のない下水の緊急放水路へと姿を変えました。

堀川水辺環境整備事業

長らく水が流れなくなった堀川に再び水流を取り戻すため、京都市は「堀川水辺環境整備事業」を実施しました。琵琶湖疏水分線から導水し、紫明通及び今出川通以北の堀川通の中央分離帯に新たな水路を整備するとともに、今出川通から御池通までの既存開渠部を親水空間として整備しました。この事業は2002年度に始まり、2009年3月29日に通水式典が行われ、完成しました。整備延長は4.4km、事業費は18億円に及びます。

市民の願いから実現した水辺の復活

堀川へのせせらぎの復活は、川沿いの25団体が結成した美化団体「堀川と堀川通を美しくする会」が1985年に設立され、1997年に堀川の水辺空間の整備を求める要望書を市に提出したことがきっかけでした。市民の熱意と長年の努力が実を結び、堀川は美しい水辺空間として生まれ変わりました。

堀川は、京都の歴史と文化を象徴する河川です。水流の復活によって、かつての賑わいを取り戻し、市民の憩いの場として親しまれています。堀川を訪れる際には、その歴史と景観をゆっくりと楽しんでみてください。

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