堀籠幸男

堀籠 幸男 (ほりごめ ゆきお)

堀籠幸男は1940年6月16日に生まれ、日本の元最高裁判所判事である。彼の法的キャリアは長く、さまざまな重要なポジションを歴任した。堀籠は東京都立戸山高校を卒業後、1964年に東京大学法学部を卒業。1965年に司法修習生となり、1967年には判事補に任官された。

彼は福岡高等裁判所那覇支部での勤務を経て、アメリカの南メソジスト大学ロースクールで比較法の修士課程を修了した。1976年に最高裁判所の調査官、1979年には人事局の調査課長および任用課長を歴任した。1983年には東京地方裁判所の判事、1984年には内閣法制局参事官、1990年には内閣法制局の総務主幹兼参事官に就任。1992年からは東京高等裁判所の判事および東京地方裁判所の判事部総括を務めた。1994年には最高裁人事局長、1998年には最高裁事務次長、2000年には最高裁事務総長に就任し、2002年には大阪高等裁判所長官に任命された。

2005年5月17日に最高裁判所判事に就任し、その後の国民審査では信任を受けた。2010年6月15日に定年退官し、2011年には秋の叙勲で旭日大綬章を受章した。また、同年からは慶應義塾大学大学院法務研究科の客員教授を務めている。

判決への対応

堀籠は最高裁判事としてさまざまな重要な判決に関与し、特に憲法に基づく判断が厳しく問われる案件において発言を行った。たとえば、2005年9月11日には衆議院総選挙の小選挙区の区割りが憲法第14条第1項に反しているか否かを判断した。結果として、多数意見では合憲とされた。さらに、衆議院議員選出の候補者に対する選挙運動の差異についても合憲と見なされた。

一方で、婚外子国籍訴訟では、国籍法第3条第1項が憲法第14条第1項に違反するとの反対意見を示しつつ、原告の請求を棄却すべきとの立場を取った。また、砂川政教分離訴訟では、砂川市による神社への土地無償提供が政教分離原則に違反するかどうかを検討し、神道の他の宗教とは異なる特質を考慮して合憲とする反対意見を表明した。

小法廷判決においても独自の視点を持ち、メイプルソープ事件では、ロバート・メイプルソープの写真集が風俗を害する書籍に該当するかどうかについて反対意見を述べた。さらに、2009年の防衛医大教授痴漢冤罪事件では、一審および二審で実刑となった判決を覆し、無罪を言い渡す決定を下した。審理の中では、被告人の供述に対する女子高生の供述の信用性に疑問を持つ立場も見受けられ、堀籠の意見は特に注目された。

そうした判決は、彼の法的思考と判断がどのように社会及び法体系に影響を与えるかを示す重要なものとなっている。堀籠幸男の優れた法的能力と公正な判断は、法の支配を強化し、裁判所の権威を高める一助となったことは否定できない。

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