堀雅貴

堀雅貴（ほり まさたか）

1985年2月17日、東京都に生まれた堀雅貴は、日本のマンドリニスト、マンドラ奏者、そしてマンドロンチェロ奏者です。

音楽との出会いと初期の研鑽

彼の音楽人生は、明治大学付属明治中学校でマンドリンという楽器に出会ったことから始まりました。高校へ進学すると同時に、久保田ミュージックアカデミーの門を叩き、マンドリン演奏技術に加え、指揮法や和声学といった音楽の基礎理論を、著名なマンドリニストである久保田孝氏のもとで深く学びました。大学時代には、明治大学法学部に在籍しながら音楽活動を続け、その学業成績や文化活動が認められ、2年連続で学部長奨励賞を受賞しています。

国際舞台での活躍

2011年には、文化庁の新進芸術家海外研修制度に選ばれ、ドイツのザールブリュッケンへ留学。ここではマンドリン奏者のフアン＝カルロス・ムニョス氏に師事し、更なる技術と表現力に磨きをかけました。この留学期間中の2014年、イタリアで開催された第10回ラファエレ・カラーチェ国際マンドリン独奏コンクールにおいて、日本人として初めて優勝という輝かしい功績を収め、世界の舞台でその実力が認められました。

多彩な演奏活動とメディア露出

国内外の様々な音楽祭やコンサートにソリストとして招かれ、活発な演奏活動を展開しています。フランスのミルクールで行われたフェスティバル「Rencontres Pince-Cordes 2011」、日本の「神戸国際音楽祭2013」、「サントリー芸術財団サマーフェスティバル2015」など、重要な舞台に多数出演。また、2018年にはmimi duo（ギターのダンカン・ガーディナー氏、ピアノの益田セツ氏）と共にオーストラリアツアーを成功させ、その活動は現地メディアにも取り上げられました。ジャズ理論や即興演奏については、大髙清美氏に師事し、音楽性の幅を広げています。

メディアへの露出も多く、2009年にはユニバーサルミュージックよりCDデビュー。NHKの音楽番組『ミュージック・ガーデン』、『J-MELO』、『映画音楽に乾杯！』や、J-WAVEのラジオ番組『Classy Café』などに出演し、マンドリン音楽の普及にも貢献しています。

アンサンブル活動とプロデュース

自身の音楽表現を追求するため、2013年にはマンドリンアンサンブル「EUPHORIA」を結成。このアンサンブルを率いてCDをリリースするほか、指揮者としても活動。アンサンブルのための作編曲も手掛けています。さらに、作曲家・ピアニストの幡田賢彦氏とのライブ共演をきっかけに、ベースの鳴瀬喜博氏（Casiopea 3rd）やドラムス・パーカッションの中沢剛氏といった著名なミュージシャンと共にバンド「Mandolicks」を結成し、ジャンルを超えた音楽活動を展開しています。

また、2015年からはプロデューサーとしても才能を発揮し、コンサートシリーズ「Il Mandolino Giapponese –もう一つのイタリア文化」を主催。日本のマンドリン文化をイタリアとの繋がりの中で紹介する意欲的な企画を行っています。楽器開発にも関与しており、落合マンドリンの「S-Hシリーズ」監修や、OPTIMA社のエンドーサーを務めるなど、多角的にマンドリン界に貢献しています。

作曲活動

堀雅貴氏は演奏活動と並行して、精力的に作曲活動も行っています。Op.1「We with you a Merry Christmasの主題による変奏曲」以来、現在までに30曲以上の作品を発表。マンドリンソロからマンドリンオーケストラまで、様々な編成のための楽曲を生み出しています。Op.3「Fest Walzer for Mandolin Orchestra」のような舞曲、Op.5「Acqua」、Op.8「水の旅路 Acquavoyage」といった水にインスパイアされた作品、Op.24「野花のダイアリー - 2つのマンドリンの為の組曲」のような連作、 Op.15「祈り」（幡田賢彦氏との共作）のような楽曲、そしてOp.23「METROPOLIS」やOp.30「Blue Moment」など、多くの委嘱作品も手掛けています。これらの作品は、彼の多様な音楽性とマンドリンという楽器への深い理解を示しています。

著書

マンドリンの奏法に関する教育的な著作もあり、電子書籍として「マンドリン演奏テーマ別攻略法」Vol.1、Vol.2をリディア電子書店から出版しています。

演奏家、作曲家、指揮者、プロデューサーとして、日本のマンドリン界を牽引し続ける存在です。

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