堂崎天主堂

堂崎天主堂：五島列島におけるキリスト教の黎明

堂崎天主堂は、長崎県五島市福江島にあるカトリックの聖堂で、その歴史は五島列島におけるキリスト教の復活と深く結びついています。江戸時代の禁教令が解かれた後、五島で最初に司祭が常駐し、教会が建てられた場所であり、下五島地区におけるカトリック信仰の中心地としての役割を果たしました。

歴史

1873年、フランス人宣教師フレノ神父が五島に招かれ、堂崎の浜辺で五島初のクリスマスを祝ったことが、この地のキリスト教の歴史の始まりです。その後、フレノ神父は五島に常駐し、奥浦地区に仮聖堂を建設。1880年には、ジョゼフ・マルマン神父が主任司祭として着任し、子供救済施設「子部屋」を設立しました。これが後の奥浦慈恵院の始まりです。さらに、手狭になった子部屋を堂崎に移設し、同時に「女部屋」を創設しました。これが「お告げのマリア修道会奥浦修道院」の前身となります。

1908年、ペルー神父の設計により、現在の堂崎天主堂が完成。1974年には、長崎県指定有形文化財に指定されました。現在は、堂崎天主堂キリシタン資料館として活用され、五島におけるキリスト教の歴史を伝える貴重な資料が展示されています。

建築

堂崎天主堂は、五島初の洋風建築として知られ、煉瓦造りのゴシック様式の平屋建てです。その美しい外観は、五島内の他の天主堂の模範となりました。内部は木造で、ステンドグラスの模様は五島の他の教会と同様に椿をモチーフとしています。リブ・ヴォールト天井は、イタリアから資材を運び込んで作られたと伝えられています。

信仰の中心として

堂崎天主堂は、五島出身の日本二十六聖人の一人、聖ヨハネ五島を記念し、「日本二十六聖殉教者」を保護の聖人としています。明治時代には、五島におけるカトリック教会の信仰の中心地として、多くの信者たちが集いました。

現在、堂崎天主堂は約3km南にあるカトリック浦頭教会の巡回教会となっており、ミサは基本的に月1回行われています。かつてはユネスコの世界遺産暫定リストにも登録された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成教会でしたが、現在は資料館としての利用が主であるため、世界遺産の構成資産からは外れました。しかし、「世界遺産の構成資産と一体的に保存・継承していく資産」として、その価値は変わらず受け継がれています。

堂崎天主堂キリシタン資料館

堂崎天主堂は、1977年に資料館として開館しました。館内では、布教時代から迫害を経て復活に至るまでの信仰の歴史を示す様々な資料が展示されています。特に、帳方（隠れキリシタンの役職者）に受け継がれてきた「お帳（太陽暦）」、ド・ロ聖教木版画（長崎県指定文化財）などは、貴重な歴史資料です。また、五島出身の二十六聖人のひとり、聖ヨハネ五島の聖遺骨も安置されています。

アクセス

〒853-0053 五島市奥浦町堂崎2019

福江港から五島バス戸岐・観音平行き約15分、「堂崎天主堂入口」バス停から徒歩10分（約1km）
福江港から車で約15分


堂崎天主堂は、五島の歴史と文化を物語る重要な場所であり、訪れる人々に深い感動と学びを与えてくれるでしょう。

もう一度検索