堅山南風

堅山南風（1887年 - 1980年）

堅山南風（かたやま なんぷう）は、熊本県熊本市に生まれた日本の著名な日本画家です。本名は堅山熊次。彼は、師である横山大観に認められ、院展や日展などの大きな展覧会で活躍し、日本画界の中心的な存在として知られています。特に、花鳥画や特に鯉を主題にした作品に優れた才能を発揮し、数々の名作を生み出しました。彼の作品の一つである「白雨」は、特にその技術の高さと独自の視点で評価されています。

生い立ちと初期の影響

1887年9月12日、南風は熊本市に三男として生まれました。彼は幼少の頃に両親を失い、祖父のもとで育ちました。彼の画家としての道は、熊本市立壺川小学校を卒業後、高木高等小学校での写生の際、地元の著名な画家、雲林院蘇山に感化されたことから始まります。1906年には、地元の画家福島峰雲に師事し、絵画の技術を磨くことになります。

1909年、南風は上京し、「南風」という画号を自ら選びました。この号は古典文学から取られたもので、彼のスタイルに深く影響を与えた作品です。上京してからは、師の高橋広湖のもとで学びながら、画壇での成功を目指しました。

文展とスランプ

南風は1911年までに文展や巽画会に出品を行いましたが、初めはすべて落選してしまいました。この厳しい状況を打破するため、師高橋の助けを借りて挿絵を描くことで生活費を得ることができました。南風は高橋の急逝後も努力を続け、その後の文展で初入選を果たします。特に「霜月頃」は、師の横山大観からの評価を受け、熊本藩主の目に留まることとなりました。

横山大観との関係

1914年、南風は横山大観の門下生となり、彼の指導の下で多作を重ねました。この年、日本美術院が再興され、南風は特に院展に焦点を当てた作品制作にシフトしました。彼の作品は次第に評価を高め、1923年の関東大震災を題材にした「大震災絵巻」もその一つです。南風の画風 éは、印象的な色使いやテーマ描写の技術で知られ、彼の経験は常に作品に反映されていました。

晩年と受賞歴

彼の活動は、晩年も続き、1958年には日本芸術院会員に推挙されています。その後も多くの展覧会に出品し、文化功労者や名誉市民として認められました。また、1975年には米寿記念展が開催され、彼の作品はさらに多くの人々に影響を与え続けました。1980年、南風は静岡県で息を引き取りましたが、彼の遺した作品は今なお多くの美術館で愛され続けています。

主な作品と著書

堅山南風の作品は、東京国立近代美術館や熊本県立美術館などに収蔵されています。また、彼は自らの技法を記した著書も数多く残しており、その中には『堅山南風自選 魚類篇』や『想い出のままに』などが含まれています。彼の作品や思想は、今も日本画の新しい世代に影響を与え続けています。

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