堤清六

堤 清六の生涯と功績

堤清六（つつみ せいろく）は1880年2月15日に新潟県南蒲原郡三条町で生まれました。彼は呉服商「近清」の家に生まれ、教育を受けた後、様々な経験を通じて独立した実業家へと成長していきます。彼の人生は、多くの苦難や挑戦に満ちており、その中で築いた日魯漁業株式会社は日本の水産業に大きな影響を与えました。

幼少期と教育

堤清六は地元の小学校を卒業後、北米教校に通いました。1895年には、祖父の東京出張に同行することになりましたが、その際に祖父が急死し、遺骨を持ち帰る悲しい出来事が起きました。これが彼にとって非常に大きな影響を与えたことでしょう。

実業家としてのスタート

1904年、堤は日露戦争中に御用商人として満州へ渡ります。その後、1906年に彼は平塚常次郎と出会い、北洋漁業の開拓を目指すことを誓いますが、家族からは反対されます。そこで、堤は実家の呉服商を閉じ、仲間を募り「堤商會」を設立しました。これが彼のビジネスの第一歩となります。

1907年にはブリガンティン式帆船「寳壽丸」を購入し、漁業活動を本格化させました。彼は漁場の開発に尽力し、1908年にはカムチャツカ半島での鮭缶詰の製造を始めます。これは後に有名なあけぼの印の鮭缶へと繋がります。

日魯漁業の設立

1914年、堤清六は日魯漁業株式会社を設立。これは日本の水産業において重要な企業として成長し、1931年には彼が亡くなるまで事業を拡大し続けました。1920年には輸出食品の企業と合併し、極東漁業株式会社に改名、さらに1921年には日魯漁業株式会社が新たに設立され、堤はその会長に就任しました。

政治活動と晩年

堤清六はビジネスの他に、政治活動にも従事しました。1924年には衆議院議員に当選し、政治家としても2期を務めました。しかし、1929年には日魯漁業の支配権を巡る事件で会長を辞任せざるを得ませんでした。

1931年9月12日、清六は東京の病院で亡くなりました。享年51歳でした。彼の業績は、三条市の菩提寺である極楽寺に眠っている彼を通じて、今でも語り継がれています。

栄典

堤清六は生前、1928年に勲三等瑞宝章を受勲しています。彼の生家は後に三条市に寄付され、勤労青少年ホームとして活用されることとなりました。その後、家屋の一部が移転され、「蒼龍庵」と「堤邸広場」として整備されました。

彼の胸像が広場に建立され、地域の人々にその偉業を伝えています。堤清六は今なお新潟県の水産業界において重要な存在とされ、その影響力は計り知れません。

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