ワンダーフォーゲル

ワンダーフォーゲル

ワンダーフォーゲル（ドイツ語: Wandervogel）は、ドイツで発祥した青少年向けの野外活動運動で、その名は「渡り鳥」を意味します。この運動は、1896年にベルリン近郊のシュテーグリッツでカール・フィッシャーを中心に始まりました。当初は、男の子たちが郊外で集まり、ギターを弾き歌うという自由で自然と触れ合う活動からスタートしました。後にこの活動には女の子も加わり、グループのシンボルとなる緑の旗が作られ、参加者の服装も変わり始めました。

ドイツのワンダーフォーゲルの発展

19世紀の急激な近代化に対する反動として、自然主義が高まり、田園風景の中で自由に生きることが求められました。このような背景の中で、ワンダーフォーゲルは広がりを見せ、1910年代にはドイツ全土に広がりました。この運動は、歌や自然の中での共同体の強化を重視し、参加者たちの自立心や個人主義を促進しました。

ところが、第一次世界大戦が勃発すると、ワンダーフォーゲルは「戦争忌避的」という観点から批評され、活動が徐々に制限されるようになりました。結果として、一部の団体はナチスの影響を受け、最終的にはヒトラーユーゲントに吸収され、その存在を消すことになりました。

日本におけるワンダーフォーゲル

日本でのワンダーフォーゲルの始まりは、戦前のドイツとの友好関係の下で、1933年に文部省内に「奨健会ワンダーフォーゲル部」が設立されたことにさかのぼります。この国が●う運動は、1935年には立教大学で初の学生団体が発足し、日本でも広まりを見せました。それ以降、戦後の高度経済成長期には多くの大学でワンダーフォーゲル部が設立され、登山や自然と触れ合う活動が盛んに行われました。

ただし、1970年代には訓練の過酷さが問題視され、「シゴキ事件」が報じられるなどの課題も浮上しました。

連帯と交流の現状

現在でも日本には学生ワンダーフォーゲル連盟などの組織が存在しますが、全国規模でのまとまった組織はありません。各地の大学で独自に活動が行われており、特に高校や高専では部活動としてのワンダーフォーゲル部が存在します。これらの部は、特に「競技ワンゲル」と呼ばれる縦走登山の技術を競うスポーツイベントにも参加しています。このような活動は大学においては少なく、独特な文化を形成しています。

関連事件

ワンダーフォーゲルに関連する事件もあります。1965年には東京農業大学で「死のシゴキ事件」が起こり、1970年には福岡大学で「ヒグマ事件」が発生しました。これらの事件は運動の運営や人格教育に対する重要な警鐘となりました。

ワンダーフォーゲルは、自然と触れ合うことで多様な体験を提供すると同時に、歴史的な背景を持つ重要な活動であることを再確認させてくれます。

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