塔院寺

塔院寺は、中国山西省忻州市五台県にある仏教寺院で、五台山の中でも重要な寺院の一つとして知られています。

歴史

塔院寺は元々、五台山で最も歴史のある寺院である顕通寺の付属の塔院でした。明の永楽5年（1407年）に寺院として拡張され、万暦年間（1573年 - 1620年）に再建されました。この再建によって、塔院寺は五台山の「五大禅林」の一つ、そして全山の「青廟十大寺」の一つとして数えられるようになりました。五台山における重要な寺院としての地位を確立しました。

1948年4月には、毛沢東が中国人民解放軍を率いて延安から黄河を渡り、五台山を経由した際に、周恩来らとともにこの塔院寺で一夜を過ごしたという歴史的な出来事もありました。この事実は、塔院寺が中国近現代史においても重要な場所であったことを示しています。

伽藍

塔院寺の伽藍配置は、伝統的な中国仏教寺院の形式を踏襲しています。寺院の入り口には、影壁と牌坊が設けられ、参拝者を迎えます。石段を上り、周門をくぐると、山門に至ります。山門をくぐると、境内には鐘楼と鼓楼が左右に配置され、時を告げます。さらに進むと、天王殿、大慈廷寿宝殿、塔殿、経閣などの主要な建物が配置されています。

特に注目すべきは、境内にそびえ立つ白塔です。この白塔は、元の時代の大徳6年（1302年）に建てられました。ネパールの建築家である阿権尼哥（アニカ）が設計を担当し、以前にあった慈寿塔を包み込むようにして建てられました。白塔は正式には釈迦牟尼舎利塔と呼ばれ、仏舎利が奉安されています。この白塔は、塔院寺のシンボルとなっており、多くの参拝者が訪れる場所となっています。

塔院寺は、その長い歴史の中で、五台山の仏教文化の中心地として重要な役割を果たしてきました。現在も多くの参拝者が訪れ、その信仰の灯を絶やすことなく、静かに歴史を刻み続けています。

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