塚田農場

概要

塚田農場（つかだのうじょう）は、株式会社エー・ピーカンパニーが展開する居酒屋チェーンです。特に、地鶏料理をメインに据えた店舗を多く運営しており、主に日本の首都圏および関西地方にそのネットワークを広げています。主要なブランドとして、「宮崎県日南市 塚田農場」、「鹿児島県霧島市 塚田農場」、「北海道シントク町 塚田農場」などがあり、それぞれが地域名とその土地に関連する食材を冠しています。

特徴

塚田農場の大きな特徴は、料理に使用する地鶏を100%自社運営の農場や提携する契約農家から仕入れている点です。これにより、食材の鮮度や品質をコントロールし、安全で美味しい地鶏料理の提供を目指しています。各ブランドでは、それぞれの地域名を冠するにふさわしい特定の種類の地鶏を使用しており、例えば「宮崎県日南市 塚田農場」および派生ブランドの「宮崎県日向市 塚田農場」ではみやざき地頭鶏を、「鹿児島県霧島市 塚田農場」では黒さつま鶏を、「北海道シントク町 塚田農場」では新得地鶏を使用するなど、地域ごとの特色を活かした取り組みを行っています。

沿革

塚田農場は2007年に東京都八王子市で第1号店をオープンし、事業を開始しました。その後、地域名を冠した複数のブランドを立ち上げ、店舗網を拡大していきます。2011年には「十勝新得町塚田農場」ブランドでの展開を開始し、翌2012年には「鹿児島県霧島市 塚田農場」ブランドもスタートさせました。同年には海外進出も果たし、シンガポールに鍋料理専門店「TSUKADA NOJO」を開店しています。国内では、2014年に東京都港区に鴨そばを提供する「鴨そば塚田農場」を開設し、2015年には山形県の最上鴨を使った専門店としてリニューアルするなど、地鶏以外の食材に焦点を当てた業態も試みました。しかし、長期にわたる既存店の業績不振を受け、2018年3月にはブランディングディレクターである佐藤可士和氏の協力を得て、地頭鶏を専門に扱う新ブランド「焼鳥つかだ」を中目黒にオープンさせるなど、事業の再構築を進めています。

独自のサービス

塚田農場は、そのユニークな接客サービスでも広く知られています。特に有名なのが、従業員一人ひとりに与えられている「ジャブ」と呼ばれる権限です。これは、来店したお客様に対し、従業員が自己判断で400円までの費用をかけてサービスを提供できるというもので、お客様へのサプライズや満足度向上を目的としています。この「ジャブ」の事例は社内ポータルサイトで共有されており、日々新しいアイデアが生まれています。また、来店回数に応じて顧客の「肩書」が昇進していく「名刺システム」も特徴的な取り組みです。初回来店で「主任」、2回目で「課長」、5回目で「部長」といったように肩書が上がり、昇進時には名刺が手渡されます。これは実質的には来店回数に応じたポイントサービスを発展させたものですが、ゲーム感覚で顧客の再来店を促し、エンゲージメントを高める効果を狙っています。他にも、料理の皿にマヨネーズなどでメッセージを描いたり、特製の味噌をタッパーに入れてプレゼントし、次回来店時に持参すれば補充するといった、手作り感のあるサービスも顧客からの支持を得ています。

課徴金納付命令

塚田農場を運営する株式会社エー・ピーカンパニーは、2019年3月1日、消費者庁から景品表示法第8条第1項（優良誤認表示）に基づき、約980万円の課徴金納付を命じられました。問題となったのは、2017年4月以降、一部のメニュー（チキン南蛮、月見つくね、塩つくね、椎茸つくね南蛮）において、実際にはタイ産のブロイラーなどを使用していたにもかかわらず、「地鶏一筋」といった表示を行っていた点です。これにより、商品の品質が実際よりも優良であると誤認させる表示を行ったと判断されました。不正表示の対象となった商品の売上は3億円を超える規模にのぼるとされています。この問題はメディアでも大きく取り上げられ、テレビ番組「バイキング」では、当時宮崎県が同社を推奨する取り組みに関わっていた東国原英夫氏が番組内で謝罪する事態となりました。また、現職の河野俊嗣宮崎県知事からも厳しいコメントが出されています。同社はこの件について、「再発防止に努める」と表明しています。

その他

塚田農場は、2011年9月15日放送のテレビ東京系「日経スペシャル カンブリア宮殿」において、「"漁業を営む居酒屋"現わる！ 生産者も幸せにする新・外食企業」として紹介されたことがあります。また、映画「柘榴坂の仇討」の製作委員会に参加するなど、飲食業以外での活動も見られます。

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