塩化アルミニウム

塩化アルミニウムについて

塩化アルミニウム（AlCl₃）は、アルミニウムの塩化物で、無水物とその水和物である6水和物がよく知られています。特に、塩化アルミニウムは工業用に多く使用され、2008年には日本国内で582,542トン生産され、9,036トンが工業的に消費されました。一般的には塩化アルミニウムという言葉はポリ塩化アルミニウムを指す場合もあります。

塩化アルミニウムの生成方法

無水塩化アルミニウムは、金属アルミニウムと塩素、または塩化水素との反応から生成されます。この反応は以下のように表されます。

反応式

• - 2 Al + 3 Cl₂ → 2 AlCl₃
• - 2 Al + 6 HCl → 2 AlCl₃ + 3 H₂

また、6水和物は無水塩化アルミニウムを塩酸に溶かすことによっても造られます。この化学反応の式は次の通りです。

反応式

• - Al(OH)₃ + 3 HCl + 3 H₂O → AlCl₃·6H₂O

そのため、塩化アルミニウムの製造方法は多岐にわたります。そして、直接的な金属アルミニウムと塩酸の反応でも生成されることが知られています。

無水塩化アルミニウムの性質

無水塩化アルミニウムは、170.9 ℃で融解し白色の固体です。重合体を形成し、液体状態では二量体を作ります。これは非常に低い電気伝導度を示し、アルミニウムと塩素の結合が特有の共有結合であることを示唆しています。無水塩化アルミニウムは160 ℃以上で昇華を始め、800 ℃以上では単量体として存在することが分かっています。また、金属アルミニウムに塩素や塩化水素を加えることで生成され、その後有機化学反応でルイス酸触媒としての役割を果たします。

塩化アルミニウムの水和物

塩化アルミニウムの6水和物、すなわちAlCl₃·6H₂Oは、塩化物イオンと水分子が6つ結合したイオン性物質です。この物質は水に溶けると部分的に水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解されます。水溶液は加熱しても再結晶せず、水酸化アルミニウムが析出します。この6水和物は主に塩析剤や木材防腐剤、染色剤、医療用防汗剤として非常に多様な用いられ方をしています。

ポリ塩化アルミニウム

水酸化アルミニウムを塩酸に溶解することで生成されるポリ塩化アルミニウムは、主に上下水道の凝集剤として利用されています。この生成物は、Al₂(OH)ₙCl₆₋ₙと表され、アルミニウム凝集の効果があります。

排出基準とその影響

水道法ではアルミニウム濃度を0.1ppm未満に抑えることが求められており、排出基準が定められています。過度の使用は水生生物や植物の成長障害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

安全性と医療用途

塩化アルミニウムは神経毒性が報告されており、そのため慎重に使用することが求められます。医療用途としては、ワクチンのアジュバントとして使用され、特にジフテリアや三種混合ワクチンに添加される歴史があります。また、局所多汗症やニキビの治療においても、塩化アルミニウムが利用されています。いずれも特定の条件下で効果的に作用することが研究されています。

このように、塩化アルミニウムは化学的な特性や工業・医療用途において非常に重要な化合物となっています。

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