塩原ダム

塩原ダム

塩原ダムは、栃木県那須塩原市関谷に位置する、那珂川水系箒川に建設されたダムです。洪水調節と農業用水の供給を主な目的としています。

沿革

箒川では中小河川改修事業が繰り返されていましたが、より確実な洪水対策の必要性が高まり、栃木県は1969年（昭和44年）に箒川・那珂川の洪水調節を目的とした補助治水ダムを計画しました。当時、下流の塩那台地が農業振興地域に指定され、流域の広大な水田地帯では早期稲作が導入されたことで、4月から5月にかけての用水不足が深刻化していました。そのため、灌漑の目的も加え、補助多目的ダムとして建設が進められ、1978年（昭和53年）に完成しました。

ダムの形式は重力式コンクリートダムで、堤高は60.0m。洪水調節、不特定利水、そして塩原・那須台地の農地への灌漑という3つの役割を担っています。

2019年10月12日には、令和元年東日本台風（台風19号）の接近に伴い、緊急放流が実施されました。

もみじ谷大吊橋

塩原ダムは日光国立公園内に位置し、潜竜峡や塩原温泉郷に近い観光地の中にあります。ダム湖である塩原湖周辺は環境整備が行き届いており、ダムの右岸には塩原ダム公園が整備されています。1999年（平成11年）には、塩原湖を跨ぐ全長320mの歩行者専用吊橋「もみじ谷大吊橋」が完成しました。

この吊橋は、トラスなどの補剛桁を使用せず、横に張られたワイヤーロープによって強度を確保しているのが特徴で、無補剛桁歩道吊橋としては本州一の長さを誇ります。春の新緑や秋の紅葉シーズンには、鮮やかな景色が湖面に映し出され、塩原の新たな観光名所となりました。

完成した年には110万人もの観光客が訪れ、現在でも年間50万人が訪れる日光国立公園の定番スポットとして定着しています。ダム周辺はクマタカの繁殖地でもあり、近年では「日光・那須塩原緑の回廊」という自然保護計画も進められています。

もみじ谷大吊橋の通行料金は、大人1回300円（20人以上の団体は270円）、中学生・高校生・65歳以上の高齢者・障害者は1回200円（20人以上の団体は180円）、幼児は無料です。那須塩原市民は無料で通行できます。通行料金は吊橋の維持管理費として使用されています。駐車場は無料で、左岸（国道400号側）に小型車123台、大型車8台、右岸に小型車25台を収容できます。2013年には「恋人の聖地」に認定されました。

アクセス

車: 東北自動車道西那須野塩原ICから約30分
公共交通機関: JR那須塩原駅からバスで約60分

関連情報

日本のダム一覧
日本の重力式ダム一覧
日本の多目的ダム一覧
都道府県営ダム
箒川ダム
関東地方のダム一覧

外部リンク

塩原ダム - ダム便覧
栃木のダム - 栃木県県土整備部砂防水資源課
* 箒川圏域河川整備計画 - 栃木県県土整備部河川課

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