塩名田宿

塩名田宿は、中山道六十九次のうち、江戸から数えて二十三番目に位置する宿場町です。現在の長野県佐久市塩名田にあり、暴れ川として知られた千曲川の東岸に開かれました。比較的規模の小さい宿場であり、旅籠の数は10軒以下でしたが、本陣が2軒、脇本陣が1軒と、合わせて3軒の格式ある施設が存在していたことが特徴です。

千曲川には橋が架けられていましたが、洪水のたびに流失することを繰り返し、安定した交通路を確保することが困難でした。そのため、旅人や物資の輸送は、主に船による渡河や徒歩に頼らざるを得ない状況が続いていました。

天保14年（1843年）に編纂された『中山道宿村大概帳』によると、当時の塩名田宿の宿内家数は116軒、そのうち本陣が2軒、脇本陣が1軒、旅籠が7軒であり、宿内人口は574人であったと記録されています。この数字から、塩名田宿が小規模ながらも一定の賑わいを見せていたことがうかがえます。

現代においては、JR北陸新幹線・小海線の佐久平駅から車で約15分の距離に位置しており、アクセスは比較的容易です。歴史的な宿場町の面影を訪ねる旅も可能です。

参考文献としては、信濃毎日新聞社が1980年に発行した「信州の文化シリーズ 街道と宿場」が挙げられます。この書籍には、塩名田宿を含む信州の街道や宿場に関する詳細な情報が掲載されています。

塩名田宿は、中山道における岩村田宿と八幡宿の間に位置しています。これらの宿場町と合わせて巡ることで、中山道の歴史や文化をより深く理解することができます。

関連する情報としては、中津村 (長野県北佐久郡) が挙げられます。また、佐久市のウェブサイトでは、塩名田宿に関する情報が公開されており、外部リンクからアクセスすることができます。

塩名田宿は、千曲川の自然の脅威と闘いながらも、宿場町としての機能を果たし、人々の往来を支えてきた歴史を持つ場所です。その歴史的な背景や文化に触れることで、旅の楽しさが一層深まることでしょう。

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