塩城自然保護区

塩城自然保護区：渡り鳥の楽園と多様な生態系

塩城自然保護区は、中国の江蘇省塩城市に位置する広大な自然保護区です。黄海沿岸に沿って444kmにわたり、247,260ヘクタールという広大な面積を誇り、中国最大級の海岸帯保護区となっています。

地理的特徴と生態系

この保護区は、1855年以前の黄河の三角州に位置しており、多様な塩性湿地や干潟が広がっています。黄河や長江水系の一部の河川が地域を横断しており、独特の地形を形成しています。気候はモンスーンの影響を受け、北部は温帯、南部は亜熱帯に属しています。シオギリソウ、チガヤ、ヨシなどの植物が豊富に生育しており、多様な生態系を支えています。

渡り鳥の重要な中継地

塩城自然保護区は、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ上に位置しており、渡り鳥にとって非常に重要な中継地となっています。シフゾウ、ヘラシギ、カラフトアオアシシギ、クロツラヘラサギ、コウノトリ、タンチョウ、オバシギ、ゴビズキンカモメなどの貴重な鳥類が生息・越冬しています。また、ハシナガチョウザメやクジラ類、魚類、甲殻類など、多様な生物にとっても重要な生息地となっています。

保護区の歴史と世界遺産登録

この自然保護区は1983年に設立され、1992年には国家級自然保護区、ユネスコの生物圏保護区に指定されました。2002年1月にはラムサール条約登録地となり、国際的にも重要な湿地として認識されています。2019年には、大豊区の大豊シフゾウ自然保護区を含む塩城市の2ヶ所が、「中国の黄海・渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群（第1段階）」としてユネスコの世界遺産に登録されました。

2024年には、黄海および渤海湾沿岸の他の地域を「中国の黄海・渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群（第2段階）」として追加登録することが計画されており、保護地域の拡大が期待されています。

世界遺産登録基準

塩城自然保護区を含む「中国の黄海・渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群」は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

• - (10)：生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいること。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれます。

まとめ

塩城自然保護区は、渡り鳥の保護と生物多様性の保全において、かけがえのない役割を果たしています。世界遺産としての価値も高く、今後の保護活動と研究の進展が期待されます。

関連項目

• - 西渓湿地公園
• - ジャロン自然保護区

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