塩村克己

塩村克己：JRA騎手から調教助手へ

塩村克己氏は、1969年大阪府大阪市北区生まれの元JRA騎手、現調教助手です。サラブレッドの競走馬とは無縁の家庭環境で育ちましたが、小学6年生から乗馬を始め、中学時代に周囲の勧めにより騎手を目指すようになりました。

1987年、JRA競馬学校騎手課程第3期生として卒業、栗東・小林稔厩舎からデビューを果たします。同期には、後に競馬界のレジェンドとなる武豊氏、蛯名正義氏、芹沢純一氏らがおり、激しい競争を繰り広げました。デビューから活躍を見せ、1年目には武豊氏に次ぐ33勝を挙げ、若手ホープとして注目を集めました。2年目も35勝と好成績でしたが、落馬事故による重傷を負い、約10ヶ月の療養期間を余儀なくされました。しかし、見事復帰を果たし、1989年には阪神牝馬特別で重賞初勝利を飾ります。

1990年代に入ると、20勝前後の成績が続いた塩村氏でしたが、1993年に小林厩舎を離れ、フリーとして活動を始めます。この転身は、自身のアイドルであった歌手・吉川晃司氏の楽曲に影響を受けたという、意外なエピソードが背景にあります。フリー転身後は騎乗依頼が減少する時期もありましたが、布施正厩舎からネーハイシーザーの騎乗を依頼され、これが転機となります。

ネーハイシーザーとのコンビで、塩村氏は数々の重賞レースで勝利を収めます。1994年には大阪杯、京阪杯、毎日王冠と主要レースを制覇し、そして10月30日に行われた天皇賞（秋）では、当時最強馬と言われたビワハヤヒデやウイニングチケットを抑え、見事優勝を果たしました。この年は自己最高の41勝を記録するなど、飛躍の年となりました。天皇賞（秋）の勝利は、塩村氏とネーハイシーザーにとって、そして人馬一体となった彼らの努力の結晶として、記憶に残る瞬間となりました。

その後も、ビッグショウリとのコンビでマイラーズカップを制覇するなど活躍を続けましたが、1999年以降は勝利数が減少。2001年には田中章博厩舎に移籍するも、2002年2月28日付で現役を引退しました。

引退後は、田中厩舎で調教助手としてキャリアを続けました。その後、田中氏の死去と厩舎解散に伴い、2016年から音無秀孝厩舎に移籍し、現在も調教助手として活躍しています。

塩村克己氏の騎手時代は、数々の名馬との出会い、そして数々のドラマチックなレースを経験した、華々しいものでした。彼の騎乗技術、そして人馬一体となったレース運びは、多くの競馬ファンに感動を与え続けました。引退後も調教助手として競馬界に貢献し続けている塩村氏の今後の活躍にも期待がかかります。

主な騎乗馬と重賞勝利

ルイジアナピット (阪神牝馬特別)
ネーハイシーザー (中日スポーツ賞4歳ステークス、大阪杯、京阪杯、毎日王冠、天皇賞（秋）)
ビッグショウリ (マイラーズカップ)
チアズサイレンス (名古屋優駿)

その他

塩村氏のキャリアにおいては、様々な名馬との出会いや、ライバル騎手との競争、そして重賞制覇への挑戦など、数多くのエピソードが彩りを添えています。これらの経験は、調教助手としての現在の仕事にも活かされていることでしょう。競馬学校同期生との交流や、競馬界における人脈なども、塩村氏のキャリアを語る上で重要な要素と言えるでしょう。

もう一度検索