塩水港精糖

塩水港精糖株式会社：砂糖製造の歴史と革新

塩水港精糖株式会社は、1903年に台湾で設立された製糖会社をルーツに持つ、日本で3番目に古い製糖会社です。「パールエース」ブランドの砂糖で広く知られています。その歴史は、台湾での製糖事業から始まり、戦後の日本における事業再編、そして新たな技術開発へと続いています。

台湾での創業と発展

1903年、台湾の塩水港庁下岸内庄（現在の台南市塩水区）に、現地資本によって「塩水港製糖会社」が設立されました。1907年には株式会社として再編され、台湾島内で7つの工場を稼働させ、台湾四大製糖会社の一つに数えられるほどに成長しました。創業当初から資本参加していた鈴木商店が1927年に破綻したことで、主力工場は台湾製糖へ移譲されました。

戦後の再出発と新たな展開

第二次世界大戦後、塩水港製糖は日本国内の資産を継承し、1950年に「塩水港倉庫」として設立されました。その後まもなく「塩水港精糖」へと商号を変更し、新たなスタートを切りました。台湾に残された工場は国民政府に接収され、名称も変更されましたが、現在はいずれも閉鎖されています。

マルハニチロ、三菱商事との関係

1964年から大洋漁業（現在のマルハニチロ）と資本提携を結びましたが、2005年には傘下を離れ、新たに三菱商事の系列となりました。これにより、新たな経営体制のもとで、更なる事業展開を目指しています。

技術革新とオリゴ糖ブーム

塩水港精糖は、澱粉を原料としたサイクロデキストリン（環状オリゴ糖）に関する独自の技術を有しています。この技術を活かして開発された商品は、甘味料市場における「オリゴ糖」ブームの火付け役となりました。健康志向の高まりとともに、オリゴ糖の需要は増加し、塩水港精糖の業績にも大きく貢献しました。

沿革

1903年：台湾で鹽水港製糖會社が創立
1907年：株式会社鹽水港製糖として東京株式市場に上場
1910年：高砂製糖株式会社を合併
1927年：大株主の鈴木商店破綻により、工場を台湾製糖に売却
1950年：塩水港倉庫株式会社として設立
1950年：塩水港精糖株式会社に改称
1961年：東京証券取引所第2部に上場
1964年：大洋漁業（現マルハニチロ）と資本提携
1982年：サイクロデキストリンの研究に着手
1983年：サイクロデキストリンの生産を開始
2005年：マルハニチロとの資本提携を解消、三菱商事と資本提携
2014年：東京証券取引所第1部に指定替え

関係会社

パールエース（食品事業）
パールフーズ（食品事業）
太平洋製糖
関西製糖
* 南西糖業

塩水港精糖は、その長い歴史の中で、幾多の困難を乗り越え、常に変化に対応しながら成長してきました。これからも、砂糖製造の伝統を守りつつ、新たな技術開発や事業展開を通じて、社会に貢献していくことが期待されます。

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