塩水区

塩水区（えんすいく/イェンシュイ）

塩水区は、台湾の台南市に位置する市轄区です。台湾語ではキャムツイ（Kiâm-chúi）と呼ばれ、新営区の近郊に位置しているため、新営都心圏への通勤者が多く見られます。

地理

塩水区は台南市の北西部に位置し、北は嘉義県義竹郷、東北は後壁区、東は新営区、西は学甲区、南は下営区と隣接しています。八掌渓の南岸に位置し、この川と急水渓の沖積作用によって形成された平坦な平原が広がっています。

歴史

塩水は台湾でも最も初期に開発された地域の一つです。鄭芝龍や顔思斉が台湾を拠点としていた頃には、すでに漢人による入植が進んでおり、八掌渓には河港が設けられ、物資の集散地として栄えていました。当時の地形は川沿いに湾曲しており、その形状が月に似ていたことから「月津」や「月港」とも呼ばれ、満潮時には海水が港内まで達したことから「塩水港」とも称されました。その繁栄ぶりは「一府（台南市）、二鹿（鹿港鎮）、三艋舺（万華区）、四月津（塩水区）」と謳われたほどでした。

しかし、鉄道建設の際、地元から「地龍を斬断する」として反対運動が起こりました。これは、風水に起因する鉄道忌避の伝説によるものでしたが、台湾総督府は縦貫線の建設を推進し、塩水地区では発達していた水運の利用を考慮し、塩水鎮、新営、白河の中から新営を経由する路線が選択されました。鉄道輸送から外れた塩水の経済的な発展は停滞し、その後は新営から塩水経由で布袋へ至る官営鉄道の支線建設が計画されましたが実現せず、最終的には軽便鉄道（台湾糖業鉄道）によって新営と連結されるにとどまりました。幹線鉄道の物流経路から外れた塩水が、かつての繁栄を取り戻すことはありませんでした。

経済

かつては塩水港製糖などの企業が存在しました。

行政区

塩水区には、多くの里（行政区画）が存在します。

教育

塩水区には、以下の教育機関があります。

科技大学：南栄科技大学
高級中学：私立明達中学
国民中学：台南市立塩水国民中学
国民小学：複数の小学校が存在

交通

塩水区内の公共交通機関は、バスが中心です。嘉義客運バスが嘉義方面、阿里山客運が高鉄嘉義駅方面、新営客運バスが新営、朴子、高鉄嘉義駅、好美里方面とを結んでいますが、いずれも1時間に1本もない状況です。

観光

塩水区には、以下のような観光スポットがあります。

塩水蜂炮：旧暦の小正月に行われる、魔除けのロケット花火飛ばしで、その迫力は圧巻です。
塩水武廟：地元の人々の信仰を集める廟です。
八角楼：歴史的な建造物で、独特な外観が特徴です。
護庇宮（媽祖宮）：媽祖を祀る廟で、多くの参拝客が訪れます。
五十三将軍忠義祠：歴史的な人物を祀る祠です。
大衆廟：地域の人々に親しまれている廟です。
北帝廟：道教の神を祀る廟です。
橋南老街：古い街並みが残るエリアです。
塩水老街：歴史を感じさせる街並みが魅力です。
塩水天主堂：中国宮殿様式で建てられた珍しいカトリック教会です。
月津港：かつて栄えた港の跡地で、歴史を感じさせます。

名物

塩水意麺：塩水の名物麺料理です。

関連項目

* 顔子月：塩水区の公式イメージキャラクターです。

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