塩竈市民歌

塩竈市民歌と市制15周年版

塩竈市民歌（しおがましみんか）は、宮城県の塩竈市が制定した、市の象徴を歌った楽曲です。作詞は櫻井宏（渋田喜久雄）、作曲は古関裕而が担当しました。この歌は1942年1月に発表され、当時の市制施行を記念して制作されましたが、戦後の価値観の変化に伴って、歌詞の一部が問題視されるようになり、公的には演奏されなくなりました。そのため、改訂版や新たな歌が作成される試みもあったのです。

塩竈市民歌の背景

1941年11月、塩竈市は市制施行を記念して市民歌の制作に着手しました。当初は東京日日新聞と共同で市章および歌詞の公募を行い、市民から寄せられた応募の中から歌詞が選定されました。1942年の1月に発表された審査結果では、塩竈市民歌が選ばれ、作曲は古関裕而によって行われました。古関は「新しい都市にふさわしい旋律」を目指し、テンポの良い元気な曲を作り上げました。

市民歌の発表会は同年4月に市立第二国民学校で開催され、内田栄一という歌手を招いて行われ、ラジオ放送もされましたが、当時のSPレコードは残っていません。また、戦後はその歌詞に不適切とされる表現が含まれていたため、演奏は行われなくなりましたが、歌詞自体は廃止されることなく、後年も記録として残されました。

市制15周年版の誕生

時が経つにつれ、戦後になって新たな市民歌の制作が必要とされるようになりました。1956年には市制15周年の記念事業として、詩人の白鳥省吾に新しい市民歌の制作が依頼され、作詞は9万円で進められる予定でした。しかし、歌詞が古くさく感じられたため、当時の塩竈市長が難色を示し、結局新市民歌は公式に発表されず、未完成に終わることとなったのです。

市制15周年版市民歌の歌詞は、後に築館町教育委員会の発行した資料『民衆派詩人 白鳥省吾の詩とその生涯』において確認ができますが、実際の曲は完成していなかったと言われています。市民歌の代替として期待されていたこの新しい歌は、結局旧市民歌が今でも残ることとなった晴れやかな例でした。

現在のカンバセーション

伝統的な市民歌は市制70周年を迎えた2011年に市民合唱団リリーズコールによって復活演奏が行われました。その際、原曲の一部を改訂し、「翼賛」という言葉を「復興」と置き換えた新たなバージョンが市のイベントで歌唱されています。また、2020年には、NHKの連続テレビ小説『エール』を機に古関裕而が注目され、塩竈市でも市民歌の新たな録音が行われました。これにより、旧市民歌に対する認識は刷新され、多くの人々によって受け入れられるきっかけとなっています。

今後、塩竈市は記念事業として当時の資料や当時の市民の体験談を記録するプロジェクトを計画しています。この活動を通じて、地域の歴史や文化を深く理解し、次世代に受け継いでいくための貴重な取り組みとなることでしょう。

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