塩谷孝信

塩谷孝信の生涯

塩谷孝信（しおのや たかのぶ、生年不詳 - 天正14年2月2日）は、戦国時代に活躍した下野国塩谷郡の武将です。彼は、下野の名門塩谷氏に生まれ、家族や養子縁組を通じて複雑な人間関係を持ちながらも、その名を歴史に刻みました。塩谷孝信は、弥七郎や安房守としても知られていますが、その人生は波乱に富んでいます。

前半生の背景

孝信は父・塩谷孝綱のもとに生まれ、兄には義孝や義尾がいました。生年は不詳ですが彼の幼少期や何番目の子であったかは資料に記されていません。しかし、後に喜連川塩谷氏の養子として家督を継承します。この養子縁組が行われたのは、永禄元年（1558年）頃であると考えられており、彼が養父惟朝とともに牛頭天王を建立した記録が残っています。これにより、孝信はその頃にはすでに成人していたことが窺えます。

兄・義孝の殺害事件

孝信の人生で特筆すべき事件は、永禄7年（1564年）10月7日の夜に発生した兄・義孝の殺害です。孝信は16騎の家来を引き連れ、実家の川崎城に侵入しました。義孝を裏切り、彼を殺して家督を奪い取るという衝撃的な行動でした。この陰謀には、孝信の妻が那須氏の重臣の娘であったことが背景にあります。当時、塩谷氏と那須氏は敵対しており、孝信は那須氏側に立つ決断を下しました。

城への侵入は、事前に内通した門番・木村和泉の協力によって実現しました。義孝は強力な武将であり、激しい抵抗をしましたが、信頼していた重臣に裏切られたことは、義孝にとって致命的な一撃でした。この事件の際、義孝の息子弥六郎は大沢隼人康勝によって救出され、山本上総介義宗の居城に逃れました。しかし2年後、弥六郎は那須氏と和睦し、武力で孝信の居城を取り戻そうとすることになります。

那須氏と対立する後半生

義孝殺害後、孝信は那須氏に完全に従い、宇都宮氏や塩谷氏との抗争を続けました。天正13年（1585年）には、薄葉ヶ原の戦いに参戦し、100騎を率いて那須方として戦いました。この戦闘で彼は那須氏の勝利に寄与し、その存在感を示しました。

最期の時

塩谷孝信は、その後も戦国の荒波の中で生き続けましたが、天正14年に亡くなりました。彼の人生は、家族との争い、忠義と裏切り、戦の悲惨さなど、戦国時代の武将の縮図を体現しています。塩谷氏の歴史の中で、孝信の名は後世に残り、その物語は今なお人々に語り継がれています。

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