塩谷義通

塩谷義通の生涯

塩谷義通（しおのや よしみち）は、戦国時代の日本において活躍した下野国塩谷郡の武将です。彼は塩谷氏の当主である義孝の長男として生まれましたが、母が側室であった為、庶子として育てられました。母方の親族が有力な岡本氏だったため、義通は岡本正親の子として支援を受けながら成長します。

前半生

義通が元服を迎えると、塩谷氏の居城の一つである御前原城代に任命されます。しかし、永禄7年（1564年）10月7日、彼の父である義孝が実弟の孝信により殺害され、居城の川崎城を奪われたことにより義通の運命は一変します。彼は岡本正親の支援を受けて川崎城の奪還を目指しますが、嫡子として扱われていた弟の義綱が母方の宇都宮氏や佐竹氏の援助を得て、城を奪い返し、結果的に塩谷氏の家督は義綱に継承されることになりました。

家族とその後の生活

義通は歴史の表舞台から姿を消しますが、岡本正親の保護を受け、その娘を妻に迎えることで新たな家庭を築きます。彼は久太郎（後の義保）、惣十郎（保真）、新助（保忠）の三人の男児に恵まれます。しかし、塩谷氏の復権の機会は恵まれず、加えて嫡子を二人も失ってしまった正親の勧めも受け入れ、義通は自身の子供たちを正親の養子として預ける決断をします。

復権への道

天正18年（1590年）、小田原征伐を契機に、岡本氏は豊臣秀吉から泉十五郷を与えられ、塩谷氏から独立することになりました。この泉十五郷には、義通が城代を務めていた御前原城や、塩谷氏が信仰する木幡神社のある地域が含まれており、義通は約1000石の領地を持って独立し御前原城に入ります。そして、文禄4年（1595年）2月8日、義綱が突如改易され、義通が実質的に野州塩谷氏の家督を継承する形となりました。

晩年と遺産

義通は意外な形で復権を果たし、長男義保が岡本氏の後継者として名を成す中、次男の保真を塩谷惣十郎と名乗らせて家督を継がせます。しかし、義通は翌年の11月1日に52歳で亡くなります。彼の死後、家族や氏の関係は新たな形を持つようになりますが、義通自身の名は後の系譜においては見られないことが多く、聞かれるのは岡本氏との関係に依存することが多かったと言われています。

結論

塩谷義通の生涯は、戦国の波乱の中での生き様を物語っています。彼の生涯には家督を巡る苦難と復権の物語が込められており、岡本氏との関わりが彼の運命に大きな影響を与えたことも大きいです。義通は一度は消えかけた存在でしたが、家族への愛情と忠義心で再び歴史の中に戻り、彼の子供たちもまた新しい時代を切り開いていくこととなりました。

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