塩谷親朝

塩谷親朝について

塩谷親朝（しおのや ちかとも）は鎌倉時代における下野国塩谷郡の領主であり、宇都宮氏の一門に属する藤姓塩谷氏の二代目として知られています。彼は塩谷朝業の息子であり、家督を相続した時期について直接的な文献は残っていないものの、父である朝業が承久2年（1220年）に出家した際に、家業を引き継いだと考えられています。

親朝はその後、鎌倉幕府の御家人として活動をしていましたが、延応2年（1240年）3月12日には番衛不参という不手際のため、幕府から出仕を停止されてしまいます。しかし、彼の能力はすぐに認められ、3年後の寛元元年（1243年）7月17日には、九条頼経の臨時出御の供奉人として復帰を果たします。

さらに、建長2年（1250年）3月1日には閑院内裏の造営に関与し、特に西屋の造営役として指名されました。この時、彼は「周防前司入道」と名乗っており、このことから親朝はこの時点で隠居生活に入っている可能性があることが示唆されています。残念ながら、同年10月14日、彼は鎌倉にて57歳で亡くなりました。

彼の最期は『吾妻鏡』にも記載されており、これが秋田塩谷系譜の信頼性を裏付ける重要な証拠となっています。親朝の戒名は涼雲松誉大禅定門であり、彼は塩谷氏の菩提寺である長興寺に埋葬されました。

塩谷親朝女について

また、親朝の娘である塩谷親朝女も非常に注目されています。彼女は宇都宮氏の一族に属し、和歌を多く残している女流歌人です。『新和歌集』には親朝女の作品が5首収められており、これはこの時代における東国の女性歌人の中でも有数の多さを誇ります。彼女は秋田塩谷系譜にも名前が記されており、夫の笠間長門守朝景は彼女のいとこにあたります。朝景自身も歌人であり、その作品は新和歌集に8首収められています。

このように、塩谷親朝はただの地元の領主にとどまらず、文学的な側面でもその名を広めた人物であったことがわかります。彼の一族は、文化的な影響を持ち続け、後世にもその名が語り継がれているのです。特に親朝女が残した和歌は、当時の歌人たちの中で重要な位置を占め、彼女の存在がその後の女性歌人に多大な影響を与えたことは評価されるべき点です。彼らの文化的な足跡は、歴史の中にしっかりと刻まれています。

もう一度検索