塩谷朝業

塩谷 朝業（しおのや ともなり）

塩谷朝業は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武士、御家人、そして歌人です。彼は宇都宮成綱の子として生まれ、母は平忠正の長子である新院蔵人長盛の娘です。実父および養父の名を引き継ぎ、最終的に塩谷氏の名跡を継承したことから、武士としての地位を確立しました。

生い立ちと家系

朝業は、宇都宮氏宗家の4代目当主である宇都宮成綱の次男として生まれ、父母ともに名門の血筋を持っていました。塩原地方を治めるための基盤を強化するため、当主朝義に子が無かったことから彼は養子となり、塩谷氏を継いでいきます。彼が生まれたのは承安4年（1174年）であり、当時の植民地的な土地所有の構図を反映した背景があります。

幼少期の境遇

しかし、彼の幼少期は決して安定していたとは言えません。1192年、建久3年に父・業綱が急逝し、さらに1194年には祖父・朝綱が土佐国へ流罪にされ、その影響で朝業も連座の咎で周防国へ配流されることとなります。しかし源頼朝の助けを受け、早期に帰国することができました。一説には、実際には周防国には到達しなかったという見方もあります。

塩谷氏への継承

朝業がいつ塩谷氏を継いだのかは不明瞭ですが、彼の所領の一つである下伊佐野の箒根神社の歴史から、建久2年（1191年）に彼が領地を得たことが明らかになっています。この時期から少なくとも名跡を継いでいたことが推測されています。

武士としての活動と歌詠み

塩谷朝業は、武士としてだけでなく歌人としても名を馳せました。建仁3年（1203年）に源実朝が第3代将軍に就任すると、彼はその身近な存在となり、歌の相手を務めるようになります。114年の実朝との交流により、彼は「嬉しさも匂いも袖に余りける、我が為折れる梅の初花」といった名詠を残し、互いに深い親交を育んでいきました。

出家と晩年

しかし、1219年に実朝が公暁によって暗殺されると、朝業は故郷に戻り出家し、信生と名乗ります。彼の後半生は、歌の道に専念し、『信生法師日記』を執筆したり、京都で宗教的な生活を送ったりしました。この時期に、師である法然を敬い、彼の弟子である証空に教えを受けました。

嘉禄の法難とその後

彼は、嘉禄3年（1227年）に発生した嘉禄の法難では、法然の遺骸を守るために尽力しました。信生と蓮生は、この困難に立ち向かう仲間たちと共に都の安全を保つために活動したのです。

最期と影響

塩谷朝業の人生は、1248年に京都で71歳で亡くなるまで、多様な活動に満ちていました。彼は火葬され、歌人、宗教者としての足跡を残しました。彼の存在は、その後の歌壇にも大きな影響を与えました。朝業の生涯は、武士としての強さと歌人としての繊細さ、さらに宗教的探求心を兼ね備えた人物として、現代においても語り継がれるべきです。

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