塵芥集

塵芥集（じんかいしゅう）

『塵芥集』は、陸奥国の戦国大名・伊達氏が制定した分国法であり、天文5年（1536年）に伊達稙宗によって制定されました。条文はおよそ171条に及び、分国法の中では最大の規模を誇ります。

概要

「塵芥」とは、ここでは「多数」という意味合いを持ち、あらゆる事柄を網羅していることを示します。しかし、戦国期の多くの戦国領主が分国法を作成した中で、『塵芥集』は不出来な分国法として知られています。その杜撰な内容から、稙宗が単独で作成したと考えられています。

特徴的な制度「生口（しょうく）」

『塵芥集』には、「生口」という特殊な制度が存在します。これは、伊達家が犯罪捜査を行わないため、被害者が自ら犯人を捕らえなければならないというものでした（一種の私人逮捕）。もし冤罪であった場合、50日以内に真犯人（むかい生口）を生きたまま連れてくる必要がありました。

歴史的評価

『塵芥集』が実際に裁判などで使用されたとする史料は存在せず、仮に使用されていたとしてもごく短期間であったと考えられています。また、内乱を引き起こし、晴宗や家臣団と対立した結果隠居に追い込まれた稙宗は、家中で忌避された存在でした。そのため、『塵芥集』は「忘れられた分国法」と化し、延宝8年（1680年）に家臣である村田親重が伊達綱村に献上するまで、その存在はほとんど知られていませんでした。

蔵方乃掟（くらかたのおきて）

『蔵方乃掟』は、『塵芥集』に先立つ天文2年（1534年）に出された質屋関係の法令です。全13条からなり、『塵芥集』が出された後も補助法として存続しました。期限計算や質物の損壊、利子計算、質物が盗品であった場合の規定などが定められています。

参考文献

桜井英治・清水克行『戦国法の読み方 』（ 2014年、高志書院） ISBN 978-4862151360
桜井 英治「「塵芥集」の性格と成立過程について」『史学雑誌』第132巻第7号、史学会、2023年

関連項目

洞 (武家)
桑折西山城

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