境木地蔵

境木地蔵について

境木地蔵（さかいぎじぞう）は、神奈川県横浜市保土ケ谷区にある地蔵菩薩を祀る仏堂で、その位置は旧東海道の権太坂の頂上に所在し、武蔵国と相模国との国境にあたります。歴史的な背景を持つこの地蔵は、多くの地域住民や観光客に愛されています。

歴史

この地蔵菩薩像の伝説によると、かつて鎌倉の由比ガ浜に漂着した同像を漁師が浜に祀りましたが、大雨に見舞われて流失してしまいました。数年後、地蔵は腰越に流れ着き、漁師が夢で「江戸の方へ行きたいが、途中で止まったらそこに放置しても良い」と告げられました。漁師は像を牛車に乗せて運びましたが、境木に着くと車が動かなくなってしまいました。これを受けて村民は「粗末なものでも良いのでお堂を作ってほしい」と願い、夢告に応じて地蔵堂が建立されました。これにより村は繁盛し、万治2年（1659年）に堂が完成しました。

境内・周辺

境木地蔵堂はもともと良翁寺の境内にありましたが、関東大震災で廃寺となり、現在では地蔵堂と江戸時代に寄進された手洗い鉢のみが残っています。この地蔵堂のある場所は、旧東海道の権太坂の頂上に位置しており、江戸時代は多くの茶屋があり、大変賑わいました。また地蔵尊から戸塚方面へ下る坂は「焼餅坂」と名付けられ、焼餅が名物でした。境木地蔵から数百メートル先には、品濃一里塚が今も江戸時代の姿を保っています。

門前は2005年に整備され、「武相国境之木」のモニュメントが設置されており、地名の由来を伝えています。地蔵堂の近くには境木商店街があり、5月から8月の最終金曜日に縁日が開催されています。この商店街には「おじぞうさんもなか」と呼ばれる、境木地蔵をモチーフにした和菓子が特に人気です。さらに、地蔵堂の裏手には緑地公園や境木ふれあい樹林が整備され、小規模な池も存在しています。

所在地・アクセス

境木地蔵は神奈川県横浜市保土ケ谷区境木本町2-17に位置しています。交通手段としては、東戸塚駅から横浜市営バス210系統で「境木地蔵尊」下車、または横浜市営バス106系統（桜木町駅経由）「境木中学校前」から徒歩3分の距離です。

関連文献

地蔵堂に関する文献としては、斎藤長秋編『江戸名所図会』の巻之二、天璇之部に記載されています。著者は有朋堂書店で1927年に出版され、578-579頁には地蔵堂が紹介されています。

境木地蔵はその歴史的、文化的な背景に加えて、周囲の魅力的な環境が訪れる人々にとって魅力的な場所になっています。

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