境線

JR境線：山陰地方のローカル線を走る、妖怪列車と美しい海岸線

JR境線は、鳥取県米子市にある米子駅から境港市にある境港駅までを結ぶ、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運営する全長17.9kmの鉄道路線です。弓ヶ浜半島の中央部を走り、山陰地方有数の貿易港であり漁業基地でもある境港市へと至ります。米子市の近郊路線として位置づけられており、近年は駅の増設や列車増発など、利用者にとって利便性の向上が図られています。

路線概要

境線は、西日本旅客鉄道米子支社が管轄する地方交通線です。全線単線で、米子駅 - 後藤駅間は直流1500Vで電化されていますが、営業列車はすべて気動車を使用しており、実質的には非電化路線として運行されています。電化区間は、後藤総合車両所の出入庫車両のためのものです。

全16駅（米子駅を含む）が路線にあり、米子駅を除くと15駅となります。閉塞方式は特殊自動閉塞式（電子符号照査式/拠点無線式列車制御システム）を採用し、最高速度は85km/hです。全線でICOCAなどのIC乗車カードが利用可能です。

運行形態

境線の列車はすべて米子駅と境港駅間の線内完結運転で、途中駅で運転を終了する列車はありません。定期列車は全列車がワンマン運転で各駅に停車します。平日と土曜・休日のダイヤが異なり、運転本数は平日17往復、土曜・休日15往復です。運転間隔はおおむね40分から1時間程度です。多客期には、後述する快速列車「みなとライナー」が1往復追加されます。

2003年には山陰本線鳥取方面との直通運転が開始されましたが、2023年のダイヤ改正で廃止されました。列車番号は、平日ダイヤがDで、土曜・休日ダイヤがKで終わります。

快速「みなとライナー」

多客期には、快速「みなとライナー」が運行されます。この列車は、2005年から2010年までは土曜・休日と学校休暇中に1往復運行されていましたが、2010年からはお盆休みなどの多客期のみの運行となりました。後藤駅、弓ケ浜駅、米子空港駅、中浜駅、余子駅、馬場崎町駅などに停車します。運行開始当初の所要時間は約30分でしたが、近年は変動があり、普通列車より速い場合と遅い場合があります。

使用車両

営業列車はすべて気動車です。一部の列車では、『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターの声優による車内アナウンスが流れます。

キハ40系気動車は、水木しげる作品『ゲゲゲの鬼太郎』のラッピングが施された「鬼太郎列車」などとして運行されています。キハ126系気動車は、ICカード対応の2両編成で、一部の普通列車や「みなとライナー」に使用されます。

境線の歴史

境線は、1902年、山陰本線米子駅 - 御来屋駅間と同時に開業しました。当初は、境港への資材搬入を目的として建設されました。その後、駅の新設や改称、電化、ワンマン運転開始、ICOCA導入など、時代とともに変化を遂げてきました。2008年には、米子空港滑走路拡張工事のため、大篠津駅周辺の線路が変更されました。その際、大篠津駅は米子空港駅に改称・移転されました。

ゲゲゲの鬼太郎と境線

境港市出身の漫画家、水木しげる氏の作品『ゲゲゲの鬼太郎』にちなんだ企画が数多く行われています。代表的なものとして、鬼太郎や仲間をデザインしたラッピング列車「鬼太郎列車」の運行があります。また、多くの駅には妖怪をモチーフにした愛称が付けられています。これらを通して、地域を盛り上げ、観光客誘致に貢献しています。

終わりに

JR境線は、地元住民の足として、そして観光客の心を掴む魅力的な路線として、山陰地方に不可欠な存在となっています。これからも、地域社会に貢献し、発展を続けることが期待されます。

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