増元るみ子

増元るみ子

増元るみ子（ますもと るみこ）は、1953年11月1日生まれの日本人で、北朝鮮による拉致被害者として知られています。彼女は1978年8月12日、当時交際中だった市川修一と共に、鹿児島県の日置郡吹上町の吹上浜で拉致されました。彼女が24歳という若さで、家族や友人たちのもとを離留することになった事件は、日本中に衝撃を与えました。

人物背景

るみ子は鹿児島市で育ち、父の増元正一は営林署で働いていました。彼女は四人兄弟の中で次女であり、兄弟の中でも特に弟の増元照明と強い絆を持っていました。高校時代には卓球部に所属し、サウスポー選手として活躍しました。彼女は照明の大学進学を祝うために、給料のほとんどを使って腕時計をプレゼントするなど、いつも弟思いの優しい姉でした。

るみ子は鹿児島女子高等学校を卒業した後、コカ・コーラで事務員として働きましたが、長時間勤務が続き、趣味の琴の稽古をする時間が持てず、退職。その後、船用品を扱う会社に勤務していました。

拉致事件とその後の捜索

1978年8月12日、るみ子は市川修一と共に、夕陽を見に行くために出かけた後、帰宅しませんでした。家族は心配し、早朝には警察に通報。捜索に協力者が加わり、約10日間の捜索が行われましたが、発見されたのはサンダルの片方のみでした。警察による捜索活動は続けられましたが、二人の行方は分からず、捜索は行き詰まりました。家族は二人が北朝鮮に拉致されたのではないかと疑い始めました。

メディアの報道と家族の反応

1年半後、サンケイ新聞の記者が訪れ、北朝鮮による拉致の可能性を指摘しました。その後も、拉致に関する情報が家族の元に届くことがありましたが、公式には確認されませんでした。1982年には家族会が結成され、るみ子の再捜索を公に訴える運動が始まりました。特にその活動の中で、母の信子は前面に立ち、自ら署名活動に取り組みました。

安明進の証言とその影響

1995年には元北朝鮮工作員の安明進が、るみ子を目撃したと証言しました。彼の証言は家族にとって大きな希望となり、るみ子の生存を信じる根拠となりました。しかし、その後の調査や取材が進む中で、北朝鮮から提供される情報には常に不正確さが付きまといました。

2002年の衝撃的な答え

2002年9月、日本の首相が北朝鮮側と会談し、日本政府は増元るみ子を含む8人の拉致被害者が死亡したとの報告を受けました。この知らせは、家族にとって耐え難いものでした。特に父の正一はその時、病床から「るみ子は死なない!」と怒鳴る姿が印象的でした。

最後のメッセージと遺族の思い

その後、正一は自らの死の間際に、遺族に「日本を信じ続けろ」と訴えました。そして、正一が亡くなったのは、「生存」の報告を受けた数日後のことでした。これにより、るみ子の家族は今もなお、彼女の帰りを望み続け、活動を続けています。

現在の状況と未来への希望

北朝鮮の拉致問題は現在も解決に至っておらず、幸せな時間を返してほしいと願う家族の声が、今も日本社会で大きく響いています。家族にとって、るみ子の存在は決して忘れられないものであり、彼女の帰還を心待ちにする想いが、時を経ても色あせることはありません。

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