増田昇

増田 昇

増田 昇氏（ますだ のぼる、1952年 - ）は、日本の学術界、特に造園学と都市計画学の分野で顕著な功績を挙げた研究者・教育者です。大阪府に生まれ育ち、長年にわたり大阪府立大学で教鞭を執りながら、ランドスケープアーキテクチュアを含む幅広い領域で深い専門知識を培いました。その活動は学術研究の枠にとどまらず、日本造園学会の会長を務めたり、自治体の政策決定に関わる委員を歴任したりするなど、社会への貢献にも積極的に取り組みました。増田氏の業績は、日本の都市や地域の環境デザイン、緑豊かな空間づくりに多大な影響を与えています。

学歴とキャリア形成

増田氏の学術的な探求は、地元の学府から始まりました。大阪府立大学農学部に進学し、1974年に卒業。大学で専門分野の基礎を築いた後、知識をさらに広げるために海外への留学を経験しました。この国際的な視点を取り入れた経験は、その後の研究活動において多角的な視野を持つ上で重要な財産となったことでしょう。

海外からの帰国後、増田氏は大阪府立大学大学院農学研究科の修士課程に進み、1977年にこれを修了しました。大学院では、日本の造園学の発展に寄与した高名な久保貞教授の指導を受けました。久保教授のもとで培われた高度な専門知識と研究手法は、増田氏が研究者として歩む上で確固たる基盤を提供しました。

大学院修了後、増田氏はすぐさま大学に残るのではなく、1977年から市浦都市開発建築コンサルタンツという民間企業に勤務しました。ここでは、学術的な理論を実際の都市開発や建築プロジェクトにどのように応用し、また現場でどのような課題が発生するのかを実践的に学びました。民間企業での経験は、研究者・教育者となった後も、理論と実務のバランスを取りながら現実的な視点を持つ上で極めて有益であったと考えられます。

大学での教育・研究活動

民間での経験を経て、増田氏は1985年に母校である大阪府立大学に戻り、農学部の助手として教育・研究者の道を本格的に歩み始めました。助手として基礎的な研究と学生指導に携わる中で、その能力と実績が認められ、1997年には同大学の教授へと昇任しました。教授としては、大学院生命環境科学研究科に所属し、自身の専門であるランドスケープアーキテクチュア、造園学、都市計画学の分野で先導的な研究活動を展開しました。また、多くの意欲ある学生や大学院生を指導し、次世代の研究者や実務家の育成に尽力しました。増田氏の教育は、単なる知識の伝達にとどまらず、学生たちが自ら考え、実践する力を養うことに重点が置かれていたことでしょう。

学会および行政における役割

増田氏は、大学での活動と並行して、専門分野の発展に貢献するための社会的な役割も積極的に果たしました。特筆すべきは、2011年から日本造園学会の会長を務めたことです。学会の顔として、国内の研究交流を活性化させ、国際的な連携を深め、造園学の社会への貢献度を高めるための様々な取り組みを主導しました。学会会長としてのリーダーシップは、日本の造園学界全体の発展に大きく寄与しました。

さらに、増田氏は地方自治体の都市政策にも深く関与しました。大阪府や堺市など、数多くの自治体で都市行政に関わる様々な委員を歴任しました。これは、増田氏の専門的な知見が、現実の都市が抱える緑地不足、景観の悪化、防災、持続可能性といった課題解決のために不可欠であると広く認識されていたことの表れです。委員としての活動を通じて、客観的かつ専門的な立場から政策提言を行い、より良い都市環境づくり、豊かな地域社会の実現に貢献しました。学術的な視点と実務経験に基づいた提言は、多くの政策決定に影響を与えたと考えられます。

増田 昇氏は、教育者、研究者、そして社会活動家として、多方面から日本の造園学、ランドスケープアーキテクチュア、都市計画学の発展に貢献した人物です。大阪府立大学での長年の教育・研究活動、日本造園学会会長としてのリーダーシップ、そして自治体での政策決定への関与といった彼の活動は、日本の都市や地域の環境をより良くするための重要な礎となっています。その業績は、今後もこの分野を志す人々に影響を与え続けるでしょう。

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参考文献:
* 第7回都市環境デザイン会議関西 執筆者略歴

※本記述は、提供された情報を基に構成されており、増田昇氏の全ての業績や活動を網羅するものではありません。
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