増田甲子七

増田甲子七の生涯と業績

増田甲子七（ますだ かねしち、1898年〈明治31年〉10月4日 - 1985年〈昭和60年〉12月21日）は、日本の内務官僚として名を馳せた政治家です。彼は、特に吉田茂の側近として知られ、運輸大臣や労働大臣、内閣官房長官、自由党幹事長などの重要なポストを経験しました。

幼少期・教育

生まれは長野県東筑摩郡坂北村（現在の筑北村）であり、地元の旧制松本中学校（現・長野県松本深志高等学校）を1916年に卒業後、第八高等学校を中退。1919年に早稲田大学専門部を卒業し、その後1922年には京都帝国大学法学部英法科を卒業しました。彼の同級生には、後に逓信大臣や松本市長を歴任した降旗徳弥がいました。

内務省への入省は京都帝大卒業後であり、神奈川県に配属されました。1922年には高等文官試験に合格し、政治家としてのキャリアをスタートさせました。

政治家としての活動

第二次世界大戦中、1945年に福島県知事、1946年には北海道庁長官を務めました。北海道庁長官時代は、労働組合によるストライキが多発していましたが、増田は屈しない姿勢を貫きました。この毅然とした態度が吉田茂に評価され、1947年の運輸大臣への任命につながりました。

同年、彼は長野4区から衆議院議員選挙に出馬し、当選。以降、10回連続で当選を果たし、吉田茂の信任を受けて労働大臣、官房長官、建設大臣を歴任しました。1951年には自由党幹事長に就任し、サンフランシスコ講和条約の交渉にも尽力しました。吉田退陣後は自由民主党に参加し、1966年には第1次佐藤第3次改造内閣で防衛庁長官として入 cabinet。

特筆すべきエピソード

1967年には、母校である松本深志高等学校の男子生徒11名が死亡するという不幸な事故が起こり、増田は救援活動を指揮しました。また、学内での葬儀ではOBとして弔辞を述べる役割を果たしました。このように、自身の教育と家族への愛情を深く持ち続ける姿勢が印象的です。

同年には、新宿騒乱前夜に防衛庁が襲撃を受け、不安に感じた増田は自衛隊の隊員に武装を命じるなど、冷静な判断力を見せました。彼は生涯を通じて「明治の硬骨漢」と称され、禁酒・禁煙を貫き、敬虔なキリスト教徒として知られました。そのため、暴力や脅迫に対しても常に態度を崩さず、剛直に対処しました。

最晩年と入院

1985年に、87歳という成熟した年齢で自宅にて火事に遭遇し、妻を探しながら焼死するという悲劇的な最期を迎えました。出火の原因は、電気ストーブと布団が接触したことによるものでした。彼の業績と生きざまは、政治家の鏡とも言えるものです。いかなる状況でも一貫した姿勢を貫いた増田甲子七の人生は、多くの人々にとって不屈の精神の象徴として語り継がれています。

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