壬生駅 (京都府)

壬生駅：京都の街角に消えた停留場の軌跡

かつて京都市中京区に存在した京福電気鉄道嵐山本線の停留場、壬生駅。その歴史は、大正時代初期まで遡ります。1914年（大正3年）の開業から始まり、その後、幾度かの廃止と再開を繰り返す波乱に満ちた短い生涯を送りました。

開業から廃止までの経緯を辿ってみましょう。当初は1918年（大正7年）以降に一度廃止されましたが、1925年（大正14年）頃には再開業。その後、1929年（昭和4年）6月26日に営業を再開するも、1952年以前に再び休止という憂き目に遭っています。そして、1952年（昭和27年）頃には営業を再開。しかし、その運行も長くは続かず、1971年（昭和46年）7月11日に最終的に廃止となりました。

壬生駅の構造は、四条通と壬生川通の交差点付近に位置していました。当初は相対式ホームでしたが、後に壬生川通を挟んで上下線が分かれる千鳥式ホームへと変更されています。なお、近隣にあった京都市電千本線の壬生車庫前停留所とは、数百メートルの距離がありました。

停留場周辺は、壬生川通沿いの四条大宮2号踏切に隣接していましたが、現在では駅の遺構は一切残されていません。現在では、その跡地にはオフィスビルやマンションが立ち並び、かつての面影は見る影もありません。周辺には一軒家も点在していますが、その数は南側に多く集中しています。

壬生駅の廃止後、2007年に実施された駅ナンバリングでは、四条大宮駅（駅番号A1）と西院駅（駅番号A3）の間にA2が欠番となりました。これは、両駅間に新たな駅を設置する計画があったことを示唆しています。しかし、2016年4月1日に行われた駅ナンバリングの変更では、A2は西院駅に割り当てられ、それ以降の駅番号も繰り上がることになりました。この変更は、かつての壬生駅への想いと、将来への展望が複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。

壬生駅は、短いながらも京都の街の歴史に深く刻まれた存在でした。その歴史は、近代化が進む中で変化していく都市の姿を反映し、時代の流れの速さを物語っています。今では消え去った駅ですが、その存在は、かつてこの場所に人々の生活と活気があったことを静かに伝えていると言えるのではないでしょうか。 壬生駅周辺の変遷は、近代日本の都市開発の一端を垣間見せる貴重な事例と言えるでしょう。 今後、この地域の歴史的背景を考慮した上で、適切な保存や活用が検討されることを期待したいものです。 また、この駅が廃止された背景には、時代の変化や交通事情の変化が大きく関わっていると考えられます。 その点についても、今後更なる調査や研究が必要となるでしょう。

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